百年前新聞

2018-04-22

百年前新聞とは?

新領土の統治に関して

大正4年9月17日

我が国が日清日露の二つの戦役を経て、南は台湾、北は樺太、さらに朝鮮半島を併合することに至ったことは、まことに未曾有の盛事であり、後世に誇るところである。だが、これらの新開の民は、はたして日本の政治を謳歌し、日本の文明に心服し、日本国民であることに満足しているだろうか。

最近では台湾で謀反事件が伝えられ、また朝鮮でも陰謀事件があったと伝わる。筆者は一々これを信じず、また新規の領地に多少の不平民があったとしても驚くに足らない。だが台湾は新領土の中で一番古く、すでに20年以上となる。現在でもなお謀反が起こるということは、その統治に問題があるのではないか。

最近、台湾から帰った人の話を聞くと、台湾の官吏は台湾人を懐柔する方策に出ず、かえって煩わしい苛酷な法を設けて人民を拘束し、財政を重んじて台湾人の負担を増し、山林田野を没収もしくは徴収して、しかもこれを廉価に内地人に払い下げたという。懐柔策を取らずして威圧策を取り、その他にも反感を挑発するような秕政がはなはだ多い。しかも台湾の言論を拘束し、内地人には台湾は平安無事であると思わせている。

筆者はこの帰客の談を信じる者ではないが、万が一これに類することがあれば、新領土の当局者に猛省を乞わざるを得ない。

そもそも異民族を同化することは至難の事業で、外国では数十年、数百年にわたっても同化することが出来ていない。よって、異民族の土地を併合することは、自国のためにもならないとして、絶対にこれを廃すべし、という議論も起こっている。特に、一定の文化に到達し、強固な慣習制度を持つ人民に対しては、同化することは非常に困難である。台湾人は、この部類に属する者なのかもしれない。

しかしまた一方から考えると、中国人は本来国家観念に乏しく、事大思想に富んでいるため、何国人が統治するとしても、善政さえすれば悦んで服すだろう。台湾人の文化は、未だ自治を要求する程度まで発達しておらず、王者の仁政を願う域にある。であれば、仁愛の政治を行なえば、日本の統治に応じることは、ほとんど疑うことは出来ない。

筆者はこの点において、新領土当局者の反省を促す。
従来、中国はいわゆる易姓革命の国で、仁心によって仁政を行なう者が王者である、という観念が深く民心に浸潤している。また、中国の文明は極めて古く、中国を征服する者は却って中国の文明に変化してしまうということは、前清朝の事実からも分かる。であれば、中国人を治めるには、その習慣に従うしかない。もし、これを鞭撻し、日本の規則に服従させようとすれば、失敗に終わるだろう。

イギリス人が植民地を治める場合、植民地の土俗に従って行っている。フランス人は、必ず自国の規約に従わせようとする。これがイギリスが常に成功し、フランスが失敗している理由である。日本が台湾朝鮮を統治する場合も、これを大いに顧慮する必要がある。

朝鮮においては、台湾の正反対で、ほとんど日本の領土であることを忘れ、極端に朝鮮民族主義ではないか。これもまた考えものである。

一般の原則からすると、悪政を行うものは滅び、善政を行うものは発展する。その国民が自由人であるかどうかによって、異なることはない。
筆者は台湾謀叛の不祥事を聞いて、敢えてこのことを記す。

台湾の事件: 7月5日
朝鮮の事件: 8月21日


索引語:朝鮮 台湾 政治

Posted by 主筆 at 2015/09/17/09:52

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