百年前新聞

2018-01-24

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1915年(大正4年)9月の出来事まとめ

大正4年9月30日

国内

政治

9月1日に、元老の井上馨が亡くなっています。
維新から明治、大正にかけて大きな足跡を残した人物であり、訃報欄にいろんな方のコメントをまとめていますので、ご覧ください。
この中では、原敬のコメントが個人的には興味深いです。原敬はもともと井上馨の引きで政治の世界に入ったのですが、この時は井上馨との関係が冷え切っていて、コメントもそっけないものになっています。

第一次世界大戦の影響として、9月15日に青年団指導への訓令がされています。
ヨーロッパ各国で、少年兵が活躍していることから、日本でも青年団の統制をするということで、いざという時に総動員体制を敷けるよう、準備が始まりました。

先月政変を巻き起こした大浦事件に対して、9月22日に大浦氏への不起訴が発表されています。
現代の感覚からすると、ここまで罪状が明らかであれば、不起訴ということはあり得ないと思いますが、当時は司法権の独立が不十分で、政治の事情が色濃く反映した印象です。

30日からは予審調書が発表されていますが、内容を読むと現代との政治倫理に対する感覚がだいぶ違うことが分かって、興味深いです。かなりあけすけに詳細が語られています。

次年度予算の立案時期にあたり、9月20日に予算案が発表されています。
第一次世界大戦によって貿易が減少しているため、関税収入が減少。したがって予算も緊縮予算となっています。
予算の中で一番問題となっている海軍の拡張計画も、9月13日の防務会議によって一時棚上げとなっており、後年に課題を残しています。

9月11日からは、韓国併合から5周年を記念して、朝鮮物産共進会が開かれています。治世の実を示す、ということで、誇らしげな記事となっています。

経済・産業

豊作により米価が暴落しており、問題化しています。10月に米価暴落に対する調査会が開かれていますが、1918年に米騒動が起こることを考えると、興味深い現象です。

第一次世界大戦で、ヨーロッパの国々が輸出する余力が無いため、日本の工業会に好景気が始まっています。また、ロシアは軍需品の輸入を日本に頼らざるを得ない状況のため、ロシアからの軍需品の注文も大量にあります。
9月16日、20日、21日、24日、26日と、日本の工場がフル稼働している様子がうかがえます。

ちょっと面白いのは、9月6日注射シイタケ栽培法の発明。結局この方法は普及しなかったようですが、農業でも進歩が進んでいますね。

現在でも残る企業としては、横河電機が創業され、パナソニックの創業者松下幸之助氏もこの月に結婚されています。

社会

9月3日に河口慧海、4日の野口英世と、海外からの帰国者が報じられています。

11月に行われる御大典(大正天皇の即位礼)の準備も着々と進んでいます。
9月11日の矯風会の大臣訪問は、御大典を機に風教の改善を図ろうという運動で、発想が面白いですね。
9月18日の高齢者表彰調査では、戸籍と実態が大幅に違っていることが判明して、これも御大典を機に戸籍が整備された、ということで興味深いです。

前年の青島攻略戦でのドイツ人捕虜に関しても、いくつかニュースがあります。
9月7日9月26日の記事に代表されるように、なかなかユーモラスな光景が浮かんできます。全体的には、ドイツ人捕虜に対して、暖かく接していると思われます。

現代ではなかなか感覚が分かりにくいですが、故乃木将軍家の再興問題が勃発しており、9月12日から延々と、いろんな方がいろんな立場で発言されています。
雑誌等も含めると、乃木家再興問題に関しては膨大な言論が交わされていますが、当時の乃木将軍の影響力がいかに大きいかが分かります。

大学令案が発表され、女子も正式に大学に入れるような案になっています。(実際は、数名が東北帝大に入学済み)
これに対する「男女混合教育は良いか悪いか」という記事は、当時の女子教育の感覚が分かって興味深いです。

海外

第一次世界大戦関連

戦局推移

東部戦線では、着々とドイツがロシアに対して勝利をおさめています。9月18日のヴィルナ占領で東方面への進出は一段落で、10月からはバルカン半島に戦場が移っていきます。

劣勢を挽回するため、西部戦線で9月25日に連合国が攻勢に出ていますが、ほとんど数キロしか前進できず、失敗に終わっています。
(新聞記事は、各国の戦時公報を元にしているので、はっきりと失敗とは報道されていませんが)

イギリス関連

イギリスでは、戦争に向けてさらに本腰を入れるため、徴兵制の導入が企画されていますが、イギリス伝統の志願兵制度を守ろうとする動きもあり、国内が揺れています。
戦局の打開のため、新兵器の戦車も導入されようとしています。

ロシア関連

8月のポーランドでの大敗を受け、国内が相当不安定な状況になっています。(代表例:9月16日の議会休会)

9月5日にロシア皇帝が最高司令官になったのは、戦争の遂行のためにはプラスの効果がありましたが、皇帝不在の首都の政治が混乱している状況が良く分かります。

9月5日に、社会主義者の集まりであるツィンメルワルト会議が行われ、レーニンが革命のためにロシアの敗北を希望しています。

ロシア革命に向けて、大きな転換点となった月です。

中東関連

9月24日に、アルメニア人の虐殺報道がありました。日本では報道の真偽が疑われており、当時はまだまだ情報の伝達が発達していないことが良く分かります。
9月28日には、メソポタミア戦線でイギリスが勝利を挙げています。

アメリカ関連

9月2日にローマ法王の講和使節がアメリカ大統領を訪問していますが、連合国が不利な状況であり、この講和運動は功を奏していません。
ヨーロッパでの戦争中に、9月16日にハイチを保護国化しています。アメリカも帝国主義の時代です。

中国関連

中国では袁世凱の皇帝就任に向けた動きが着々と進んでいます。(9月1日9月19日
その陰で、9月15日に陳独秀が青年雑誌を創刊しており、中国共産党が生まれる芽が出ています。


索引語:月まとめ

Posted by 主筆 at 2015/09/30/23:59

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