御大典に参列する婦人の服装
大正4年8月6日
(大正4年8月6日読売新聞を参考に作成)
この秋に京都で行われる御大典への参列資格が発表されていますが、畏くも親任官に対しては、夫人の同伴の光栄を賜っています。
夫人方の参列準備について、三越呉服店では万端の準備をしていますが、今のところ注文を受けたのはわずか2~3名。
あまりの少なさに呆気にとられています。
・担当者の談
我が国の婦人は出不精で、毎年の御宴に御召しされている婦人令嬢は数千名ですが、出席者はまことに少なく、指で数えられるぐらいです。
これは礼服の準備がないためもあるのでしょう。
今回はまたとない光栄であり、是非一通り揃えたいという方も随分多いようです。
どのようなものを揃えれば良いのか、費用はどのぐらいかかるのかと申しますと、洋装であれば礼服、日本服であれば袿袴です。
洋服は、最近は繻子を使うことが通例になっています。
下着と上着、頭の不レーン、下の靴まで揃えて、250円から500円かかります。
出来るだけ安く、ということであれば、75円ぐらいで出来ないことはありません。
ですが、これに加えてアーミンという、白イタチの毛皮の飾りつけがあり、これが240円ぐらいかかります。
ただ白イタチは高価なため、皇族方をのぞくと、白ウサギの毛皮で代用しており、これは50円ぐらいで揃います。
以上のほかに、大饗宴の時の夜会服を作らなければなりません。
礼服を夜会服にすることも出来ますが、夜会服は薄い生地が好まれますので、繻子の礼服は歓迎されないのです。
夜会服は75円から100円ぐらいで出来ます。
袿袴は、150円から400円ぐらいです。
檜扇は、10円から100円を超えるものもありますが、扇を開くということはないので、5円ぐらいでも出来ます。
(運営者注: 1円を現在の5000円ぐらいで計算してみてください)


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