百年前新聞

2018-01-23

百年前新聞とは?

西園寺公望のローマ字採用論ほか

大正5年1月2日

大阪朝日新聞

大正5年(1916年)1月2日の出来事

【社会】大阪の逃亡捕虜捕らわる
【第一次世界大戦】セルビア王がギリシャ領サロニカへ
【年頭特集】西園寺公望のローマ字採用論

国内

逃亡捕虜が捕らわる(大阪)

元旦の隙を狙って、大阪捕虜収容所ではケルン、ストルフのドイツ人捕虜2名が逃亡していました。

この2名の捕虜は、木津川河口まで行きましたが、そこで行き詰まり、寒いので川を渡ることも出来ず、マゴマゴしているところを警官に見つかり、捕らえられています。


海外


セルビア王がギリシャ領サロニカへ


ペータル1世

国土をドイツ・オーストリア軍、ブルガリア軍に占領された、セルビア王ペータル1世が、フランスの軍艦に乗せられて、ギリシャ領サロニカに逃れてきました。

ギリシャ政府は歓迎の意を表していますが、サロニカにセルビア亡命政府が置かれるかどうかは、現時点では不明です。


このとき


出来事

・丸亀保養楽団(丸亀捕虜収容所のドイツ人で構成)が、第8回の演奏会を開催。
 新たにチェロを購入し、バイオリン、フルート、オルガン、ビオラに加わりました。

 参考:香川近代史研究会  丸亀ドイツ兵俘虜研究会

・ロシアの天文学者グリゴリー・ネウイミンが、クリミア半島のシメイズ天文台で小惑星タウリスを発見。

誕生日

伊丹万作 (16) 愛媛県松山中学校学生


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年頭寄稿

西園寺公望侯爵:ローマ字採用論


ローマ字採用の可否は、今日もはや問題にならない。

教育では、子どもの発達を妨げることが多く、実務においては仕事の進捗を鈍くする。
学問の上では、日本の思想が海外に紹介されないのみか、かえって外国から誤解されることになっている。

このような鎖国的な文字を止めて、学びやすく使いやすい、世界的な文字を用いることは、一日も急を要することである。

骨董品としての漢字、文学としての漢文は別の問題で、日頃使う、便利を旨とする文字と、同じように語ることが間違いである。

今の小学生からローマ字を使わせるようにしておけば、五十年後にはどんな用事でもローマ字で出来るようになる。

ヨーロッパの戦争を見ると、いかに我が国民が覚醒する必要があるかが良く分かる。この時に及んで、なおローマ字が良いの悪いのという人とは、共に国家の事を語ることは出来ない。

編集後記

新年二日目で、本日もあまり新聞記事はありません。


昨日の高田早苗に続いて、元総理大臣、後に最後の元老になる西園寺公望までが、ローマ字採用論を発表しています。それもかなり激しい調子ですね。

漢字廃止論は明治時代から唱えられ続け、戦後のGHQでもローマ字化の指導があったようです。

韓国・ベトナムでは実際に漢字が廃止されているので、日本は踏みとどまって良かったと思います。

とはいえ、この運動によって、漢字の制限が行なわれ、日本語もだいぶ読みやすくなりました。本当、この頃の新聞は読みにくいのです。


ちなみに西園寺公望は、この頃は隠遁状態で、政局にほぼ関わっていません。
1912年(大正2年)の大正政変後、京都に引きこもっていましたが、そろそろ政治活動を再開する頃です。新聞にも久々に大々的(?)に登場しました。


ドイツ人捕虜のニュースも、引き続きちょこちょことあります。
小惑星に関しては、第一次世界大戦中にも関わらず、ロシアとドイツで小惑星の発見合戦が行なわれていて、ちょっと興味を引くので取り上げてみました。

本日は以上です。


索引語:西園寺公望 バルカン諸国 第一次世界大戦 社会 音楽

Posted by 主筆 at 2016/01/01/23:45

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