百年前新聞

2018-04-27

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青年団指導に関する内務省文部省共同訓令ほか

大正4年9月16日

大正4年(1915年)9月15日の出来事一覧

【政治】青年団指導に関する訓令
【社会】尾崎行輝氏の卒業飛行
【社会】乃木家再興問題に関する沢柳政太郎の談
【社会】ドイツ人捕虜フランツ・オステル氏の飛行機製作
【社会】矢島楫子女史が大阪府知事を訪問
【中国】陳独秀が「青年雑誌」を創刊

<国内>

青年団指導に関する訓令

一木内相および高田文相は、地方青年団の実地指導に関し、各地方長官に訓令を発しました。

全国に青年団は3万以上あり、団員は300万人以上います。
地方では農家の青年が多く、地域の農会から補助金をもらった農業団体となっている青年団もありますが、これを国民教育の一貫として再度位置づけたものとなりました。

世界大戦で、交戦国の少年義勇団の活躍を見た、陸軍からの依頼もあったようです。

訓令

青年団体は今や全国にあり、国運の伸長、地方の開発に大きく影響している。この際、いっそう青年団体の指導に努め、完全なる発達を遂げさせることは、最も喫緊の要務の一つである。
青年団体は青年修養の機関であり、健全なる国民、善良なる公民としての素養を会得させるものである。よって団体員に、忠孝の本義を体し、品性の向上を図り、体力を増進し、実際生活に適切な智能を磨き、剛健勤勉に国家の進運を扶助する精神と素質を養成することは、緊切なことである。
地方当局はすべからく、地方実際の状況に応じ、団体をして健全なる発達を遂げさせることが必要である。

青年団体設置に関する標準

  1. 青年団体は市町村内における義務教育を終えた者、もしくは同年齢以上の者で組織し、最高年齢は20歳とする(例外も認める)
  2. 青年団体は市町村を区域として組織する。土地によっては、部落または小学校区域等を地域とし、支部を置く等すること。
  3. 青年団体の指導者には、小学校校長、または町村長、其の他名望あるものの中から選出する。市町村職員、教員、警察官、在郷軍人、神職、僧侶等、篤志者に協力させること。
  4. 青年団体に要する経費は、団体員の勤労による収入をもって支弁すること。

内務省のコメント

本訓令をもって兵役の予行準備と誤解するものもあるが、決してそのような意味ではない。もっとも調査に際して、イギリスの少年義勇団の趣旨は参考にした。

文部省のコメント

内務省は自治・公共方面から、文部省は補習教育および精神修養を目的として、これまで青年団の指導に一貫性がなかったため、共通の標準を作った。イギリスのボーイスカウト、ドイツのユーゲントヴェール、フランスのスカウト、等を参考にした。

尾崎行輝氏の卒業飛行


読売新聞 大正4年9月16日

帝国飛行協会の卒業飛行が行われ、尾崎行雄法相の息子行輝氏の卒業飛行が行われました。

民間飛行家ということで物珍しく、青山は見物人であふれかえっていました。白麻の背広にパナマ帽という軽装の尾崎法相も6時30分に来着し、息子の卒業旅行を見守っています。

7時に所沢出発の電話があり、法相は双眼鏡で北西の空を眺め、7時10分に機影が現れました。機は上空を一周したのち、歓呼のうちに無事着陸。行輝氏は、飛行協会総裁久邇宮殿下、飛行協会副総裁の阪谷男爵、澤田教官等に迎えられました。

教官の許可があり、尾崎法相も飛行機への同乗を勧められましたが、固持されています。
行輝氏は8時5分に青山を出発し、8時37分に無事所沢飛行場へ帰着しました。

乃木家再興問題

毛利元智氏が法律上の手続きを完了し、乃木元智と改姓しました。

沢柳政太郎氏談(文学博士、前京都帝国大学総長)

乃木伯爵家の再興が、将軍の勲功を表彰する記念碑だというように解釈することは、私の理性も感情も許さない。

乃木家の後継者があってもなくても、将軍の偉勲にはなんら関係が無い。将軍の人格は、我々の記憶に常に新たである。将軍を追慕する際に、将軍の人格は常に我々の心の中に蘇る。形の上の家系の後継者がなければ、偉勲が消えてしまうものだとは思われない。

楠正成が忠臣であることは、楠氏の家系存続とはなんらの関係がない。今、私は正成の子孫と称する人々がそこらにあることを記憶から呼び起こすが、私はその人々のことを思い出すたびに、私の心の中の正成の偉勲は汚される。

およそ凡庸な末孫が存在するということは、偉人に対する美しい追慕の情の破壊である。むしろ英雄、偉人にその末裔がない時、その偉勲はいっそう美しく床しい光を放つ。

偉功に対する栄爵の授与は、人格と相対するものでなければならない。国民教育の上から見ても、はなはだ寒心すべきものである。

ドイツ人捕虜フランツ・オステル氏の飛行機製作

大分捕虜収容所のフランツ・オステル氏は、オーストリア式単葉飛行機の発明者で、民間飛行家として日本を訪問したこともあります。

収容所の生活は刺激が少ないことから、オステル氏は飛行機を製作し、うまくいけば飛行をしてみたい、と収容所長に願い出て、このほど許可されることになりました。

オステル氏は非常に喜んで、青島にある発動機を取り寄せてもらい、来年2月をめどに飛行機の製作に取り掛かりました。飛行機が出来上がったら、収容所に寄附するつもり、とオステル氏は語っています。

矢島楫子女史が大阪府知事を訪問

先日、閣僚を歴訪して、公式の場に娼妓を同伴しないこと、今後6年で公娼の全廃を説いた、矯風会回答の矢島楫子女史が、大阪府知事を訪れました。

「ご存じのとおり、ただいまの内閣は非新橋内閣と呼ばれるほどあって、謹厳な大臣ぞろいですから、みなさまこのたびの決議にはご賛成下さいました。昨日も大隈さんをお訪ねいたしますと、いよいよでかけるか、大阪はなかなか面白い土地だからしっかりやるがよい、と励ましていただきました。」

大久保知事は決議文については良いとも悪いとも言わず、女史一人にしゃべらせて、始終受け太刀だったようです。

<このとき>

陳独秀が「青年雑誌」を創刊

陳独秀氏が、上海で「青年雑誌」を創刊しました。

(*後に、「新青年」と改名。魯迅、胡適等が寄稿することになり、儒教的な考え方からの脱却を目指す、中国の新文化運動の中核になる雑誌になります。若き日の毛沢東も寄稿するようになり、政治活動のデビューの場になります。)

その他の出来事

・岡山県の西大寺鉄道が全線開通しました。
前土田電子町内会さんのホームページ

・福岡捕虜収容所から、95名が習志野収容所へ移動しました。

・P.G.ウッドハウスが「ガッシー救出作戦」を発表しました。
(「ジーヴス&ウースター」シリーズの原型となった作品。英語圏では聖書の次に売れた本、とも言われています。)


索引語:中国 地方 思想 文化 鉄道

Posted by 主筆 at 2015/09/15/18:21

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