百年前新聞

2018-05-24

百年前新聞とは?

英仏連合軍の攻勢ほか(第一次世界大戦・西部戦線)

大正4年9月26日

大正4年(1915年)9月25日の出来事一覧

【政治】尾崎法相が大浦前内相の不起訴理由を公表
【陸軍】練習機が墜落
【第一次世界大戦】西部戦線で英仏連合軍が攻勢
【第一次世界大戦】アメリカがイギリス・フランスに5億ドルの借款供与
【医療】山極勝三郎氏等が、世界初の人工がんの発生に成功
【第一次世界大戦】ドイツが東部戦線での攻勢を中止

<国内>

尾崎法相が大浦前内相の不起訴理由を公表


大阪朝日新聞

尾崎司法大臣が、前内務大臣大浦兼武氏の不起訴理由を公表しました。

香川県衆議院選挙に関する1万円収受に関して(大略)

大浦氏が白川友一氏から1万円を受領したことは明白だが、白川氏の選挙運動のためと認めるべき証拠不十分により不起訴とした。
収賄行為と主張するものもあるが、大浦氏の当時の職務との直接の関係はなく、したがって収賄罪と認めることは出来ない。

第35議会での議員買収に関して(概略)

大浦氏が政友会の不平議員を誘致し、資金を林田亀太郎氏及び板倉中氏に与えたのも事実ではあるが、その行為は議案の通過を目的とし、政策の実施を急いだからであり、手段は誤っていたとしても、私利私欲を充たすものではない。
大浦氏はすでにその責任を自覚し、すべての公職を辞し、爵位も退き、所属政党も脱し、将来政治に関与しない決意を表し、深く謹慎の実を示している。
その行為が贈賄罪を構成するといえども、犯情に減諒すべきものがあるのと、事後の謹慎、悔悟の状からみて、処罰の必要なしと認め、起訴猶予処分とした。

考え方に関して(要約)

およそ犯罪はこれを訴追し、刑罰法令を適用するのが通例である。
しかし刑罰を用いなくとも公安秩序を保持することが出来る場合においては、犯罪があったとしても、これを訴追しないことが刑事政策の目的に適合するものとした。
この方針の下に検察事務の運用を行なっている。

刑罰の目的は、犯人を改悛させ再び犯罪をすることがないようにすることと、法の威力を示し一般人を守ること、の二つである。
刑罰を科さないとその目的を達することが出来ない場合は、これを訴追する。刑罰を科さなくてもその目的を達することが出来る場合は、起訴猶予を為すべきである。
決して犯人の地位の高下、身分の尊卑により、この適用を変更したのではない。

大浦氏の状況は、再犯のおそれがないと認めることが出来る。
また、今後政府の要職者で政策の実行に当たる者についても、この行為に基づく大浦氏の隠退に鑑み、断じて同様のことを行なうことは無いと信ずる。

陸軍の練習機墜落

所沢飛行場でアンリ・ファルマン機に搭乗し練習中の岩富中尉が、約50メートルの高度から墜落しました。
岩富中尉は人事不省となりましたが、病院に到着した頃には意識が戻りました。傷の程度は大したことはなく、全治三週間という軍医の診断です。

墜落の原因は、入念に検査してあったため機体の故障ではなく、上空の気球を避けようとした際にバランスを失ったのでは、とされています。

<海外>

世界大戦の戦局

西部戦線で英仏連合軍の総攻撃


西部戦線1915(Wikipediaより)

イギリスとフランスの連合軍は、西部戦線の全線にわたって、ドイツ軍に対し総攻撃を仕掛けました。

ダーダネルス海峡戦での敗北、ロシア軍のポーランドでの敗北を受け、連合軍は西部戦線で一矢報いる必要があります。

シャンパーニュ(地図中央)では、フランス軍27個師団に対し、ドイツ軍19個師団。アルトワ、ロース(地図上部)では、英仏連合軍16個師団に対し、ドイツ軍12個師団と、連合軍は数の優位を示していますが、対するドイツも有刺鉄線を何重にもした塹壕で、防御態勢を整えています。

アメリカがイギリス・フランスに5億ドルの借款供与

アメリカが、イギリス・フランスに対して、5億ドルの借款を供与しました。
償還期限は5年ですが、債券の保有者の任意により、10年~20年のイギリス・フランス公債に変更することが可能です。

ブルガリア動員問題

ブルガリアの動員に関して、ロシアのスラブ協会会頭グチコフ氏が、ブルガリア首相に対して、下記のように打電しました。同盟国側について参戦しないよう求めています。

「ブルガリア人がスラブ民族宿年の仇敵たるドイツに味方し、その同胞に対して刃を差し向けるとは、全く信じることが出来ない。このようなことは、実に世界の民族史上にかつて類例のない行為である。」

<このとき>

出来事

  • 9月18日のヴィルナ攻略以来、東部戦線での膠着が続いており、これ以上損害に見合った成果は上げられないとして、ドイツ軍参謀総長ファルケンハインが東部戦線での攻勢を中止する命令を発しました。
  • 東京帝国大学医学部の山極勝三郎氏等が、世界初の人工がんの発生に成功しました。当時がんの発生原因は不明であり、「刺激説」「素因説」がありました。山極氏等は、3年以上に渡りひたすらウサギの耳にコールタールを塗擦し続け、人工的にがんを発生させることに成功し、刺激説を裏付けしています。

訃報: 野沢 重吉 (社会主義活動家)


野沢重吉氏

日本に社会主義運動が起こった当初からの活動家、野沢重吉氏が亡くなりました。享年59歳。(58歳?)
野沢氏は銀座の人力車の車夫で、「築地の親爺」として当時有名でした。
幸徳秋水の平民社にも協力しており、大杉栄が追悼文を書いています。
(大杉が出かける時に、野沢の車を利用していました)

ふもれすく年譜1915年


誕生日


魯迅 (34) 中華民国教育部員
石橋 湛山 (31) 東洋経済新報記者


索引語:健康・医療 アメリカ イギリス ドイツ バルカン諸国 フランス 司法 学問 第一次世界大戦 訃報 尾崎行雄

Posted by 主筆 at 2015/09/25/21:50

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