百年前新聞

2018-05-24

百年前新聞とは?

大浦前内相の予審調書発表、竹尾家事件の落着ほか

大正4年10月2日

大正4年(1915年)10月1日の出来事一覧

【朝鮮】朝鮮物産共進会の開会式
【政治】新大学令に関する教育調査会
【経済】海上運賃の値上げ
【社会】京都大典博覧会の開会
【社会】農展の開会
【社会】看護婦規則が実施
【司法】大浦前内相の予審調査書が発表
【社会】竹尾家事件の落着 慰謝料15万円
【第一次世界大戦】セルビア国境にドイツ・オーストリア軍が集中

<国内>

朝鮮物産共進会の開会式

10月1日は朝鮮始政記念日であり、日本から閑院宮、河野農相を迎え、あらためて9月11日より開始された朝鮮物産共進会の開会式が行われました。
記念事業として、先日卒業飛行を行った尾崎行輝氏の飛行も行われています。

新大学令に関する教育調査会


菊池大麓男爵

新大学令に関する第三回目の教育調査会が行われ、当日も質問が尽きず、今後は特別委員により検討されることになりました。

特別委員
菊池大麓男爵(京都帝大名誉教授、元東京帝大総長、元京都帝大総長、元学習院院長)、三土忠造(政友会衆議院議員)、岡田良平(元京都帝大総長、元文部次官、一木内相の実兄)、早川千吉郎(官僚出身、三井銀行)、鎌田栄吉(慶應義塾塾長)、成瀬仁蔵(日本女子大学創設者)、鵜澤總明(衆議院議員、明治中学校校長)、花井卓蔵(衆議院議員、弁護士)、嘉納治五郎(柔道家、東京高等師範学校校長、大日本体育協会会長)

海上運賃の値上げ

世界大戦の影響により船舶不足が続いている海運業界で、日本郵船が豪州航路を2割、大阪商船、東洋汽船が北米航路を2割の値上げを実施しました。
造船業界も未曾有の景気となっており、これまでの造船最高記録だった明治40年の2倍の製造高を示しています。

京都大典博覧会の開会

御大典を記念して、京都の岡崎公園で大典博覧会が開会しました。

公園中央には万歳塔が立っており、各種工業館では、京都染物、化学工業品、洋家具、雑貨、人形、玩具などが、美しく展示されています。
その他、美術館、食料館、機械館、演芸館、台湾館、参考館、満州館、大礼館があります。

参考館では、陸軍省の武器を展示、煙草専売局は館内でタバコ製造機械を運転し即売。満州館では、満州の事業と生産を紹介。美術館では工芸品、画家の作品、彫刻を展示。大礼館では御即位式、大嘗祭の模型が展示されています。

農展が開かれる

農商務省の図案および応用作品展覧会として、農展が東京市木挽町の商品陳列館で開会しました。10月1日から25日まで。

看護婦規則が実施

6月に発表された看護婦規則に関する内務省令が、10月1日施行されました。

これまでの看護婦規則は各県まちまちで、看護婦規則の無い県も15県ほどありました。
この内務省令は、各県まちまちの規則を全国で統一するともに、無免許での看護を禁じ、看護の質を高める目的があります。

これまで看護に従事していた看護婦に関しては、3か月以内に届け出をすれば、履歴審査の上、免状が発行されます。
今後は、18歳以上で看護婦試験に合格したもの、または指定学校・講習所を卒業して免状を取得したもののみが、看護婦として働くことが出来ます。

大浦前内相の予審調査書が発表

8月13日に行われた、大浦前内相の予審調書が発表されました。(末尾に掲載)

竹尾家事件の落着 慰謝料15万円

大阪の豪商竹尾家では、認知症となった竹尾治右衛門氏の愛妾お房に対して慰謝料15万円を提供することで落着しました。

この慰謝料15万円は、桂公爵家が愛妾お鯉に与えた5万円という記録を大幅に破り、慰謝料の新記録です。
お房の住む別邸には巨額の株券があり、お房がこれを勝手に始末しないよう、慰謝料が巨額となりました。

なお息子の治太郎氏は、この事件を惹起した自己の不明を謝し、病父のかねてからの意思もあり、金50万円を調停者の弁護士に託し、任意に公益事業に使用されることを希望しました。
調停者はいろいろ考えた結果、肺病が多く、且つ完備した結核研究所がないことから、このお金で肺結核研究所を設立することにしています。(*後の竹尾結核研究所)

<海外>

世界大戦 戦局

フランス軍の奮戦

激闘が続いている西部戦線で、フランスのマルシャン将軍が植民地軍を率いて塹壕戦の先頭に立っていた際、敵弾により重傷を負いました。
(*マルシャン将軍:ファショダ事件の際のマルシャン少佐)

セルビア国境にドイツ・オーストリア軍が集中

オーストリアとセルビアの国境に、ドイツ・オーストリア軍が集まっているという報道がありました。数は最大で50万人とされています。
また、多数のドイツ人将校がブルガリアに入国しつつあるという報道もあり、セルビアをめぐる環境が厳しくなってきています。

<このとき>

出来事

  • 大杉栄、荒畑寒村らが、『近代思想』(第二次)発刊。(連続して発禁処分になります)
  • 青島攻略戦の影響もあり完成が遅れていた、山東省の龍口港が開港しました。
  • アーセミン商会(後の第一製薬)が創業。ドイツからの医薬品が途絶えているため、医薬品の製造能力向上が期待されています。
  • アメリカで、大手映画会社が組んだトラスト「モーション・ピクチャー・パテンツ・カンパニー」に対して、反トラスト法違反の判決が下りました。映画会社はより自由に映画を作れるようになり、アメリカの映画産業が発展する一つの機会となりました。

<特集>

8月13日に行われた大浦前内務大臣の予審調書


大阪朝日新聞

予審判事「証人は板倉中を知っているか。」
大浦前内相「板倉は古くより衆議院議員を致しておりますから知っております。しかし懇意ではありません。」

「板倉中が証人に対し増師賛成意見を述べたことはないか。」
「昨年10月か11月かのように思います。板倉が私宅に参り、千葉県に政友会支部の総会があるにつき、これに出席して演説せねばならぬが、自分は増師賛成であるから、そのことを原敬のところに行って話したところ、原は支部の総会で党議に反対の意見を述べるようでは困るから、あまり明白に賛成意見を述べない方がよかろうと言われた。自分はあくまで賛成意見を述べるつもりだ、と言っておりました。」

「板倉は時々証人方に来たか。」
「日時等は覚えませんが、その後も時々私宅にも参り、電話にても話しました。」

「板倉はいつも増師案に賛成すると言っていたか。」
「そうです、同人は増師賛成は自分の持論だ、というように話しておりました。」

「板倉より金の要求を致したことはないか。」
「板倉は議員をまとめて政府案に賛成するから、金を出してくれよと申しました。それを数回に1万3~4千円渡したかと思います。」

「いつその金を渡したか。」
「昨年12月20日前後のころです。」

「金は証人の自宅で渡したのか。」
「さように思います。議院において渡したこともあるように思います。」

「証人は白川友一に対し、板倉に2万円渡したと話したようなことはないか。」
「それはよく記憶しませんが、板倉に渡したのは、自分は1万3~4千円と思っておりますが、あるいは2万円だったかもしれません。
なおこの場合において自分当時の意向を申し立てておきますが、大隈首相は正々堂々とやって議会が増師案に反対して否決するならば、解散して輿論に問うという意見でした。
が、私は解散して総選挙を行えば、いつも5~6千人ないし1万人の犯罪者を出し、非常に国家の不祥事なるのみならず、増師案の不成立はひいて陸海軍の軋轢となる恐れもあり、面白からぬ結果に立ち至るから、多少金を使っても解散を避け、政府案の通貨をはかることが万全の策と思いましたから、彼らの要求に応じて金を渡したのです。
しかしその金を板倉がいかに使ったかは、私はいっこうに知りません。」

「板倉が白川より1万円受け取っていることを知らぬか。」
「板倉が白川より1万円受け取っておりしが、後に白川と板倉が喧嘩して、白川は4千円現金にて取返し、残り6千円を証書にしたということを、白川より聞きました。」

「白川より板倉の証書ならびに計算書を受け取ったか。」
「本年1月ごろと思いますが、白川が計算書と証書を持参しましたが、かような物は置く必要がないと思って、破ってしまいました。」

「計算の大体は記憶しておられるや。」
「白川に対しては、林田の手を経て3万幾千円渡したかと思いますが、白川は1万5千円残ったと言って、残金と証書および計算書を持参しました。そしてその時に、白川は丸亀には自分ら同志の新聞がないから設けたいと思うにつき、寄付をしてくれないかと言いました。よって私は、直ちに7千円寄付してやりました。」

「白川に対して渡した3万円余の金も、やはり板倉に渡した金とその趣意は同様であったか。」
「さようです、全く同様です。やはり前申し立てたように、当時の政策上の必要から渡したので、元々議員買収ということは予想していなかったのです。その金を白川板倉等がいかに使用するかは、私においてはあらかじめ考えてはいなかったのです。」


索引語:健康・医療 フランス バルカン諸国 事件 司法 宗教 教育 文化 朝鮮 産業 社会 第一次世界大戦

Posted by 主筆 at 2015/10/01/19:37

follow us in feedly
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事へ 次の記事へ