百年前新聞

2018-01-23

百年前新聞とは?

靖国丸の遭難、医学界の紛争ほか

大正4年11月4日

後日の大阪朝日新聞


1915年(大正4年)11月3日の出来事一覧

【政治】中国外交に関する臨時閣議
【政治】教育調査会特別委員会
【海軍】戦艦山城の進水式
【経済】輸出の好調
【社会】医学界の紛争
【社会】大米龍雲の公判
【社会】御大典記念品の発売
【イギリス】下院での首相演説
【第一次世界大戦】靖国丸の撃沈
【第一次世界大戦】第三次イゾンツォの戦い終了

国内

中国外交に関する臨時閣議

中国が、日本の帝政延期勧告を拒絶したことに対する、臨時閣議が行われました。

大隈首相の談

中国からの回答は、帝政延期勧告を拒絶したと伝えられているが、回答の要領は単に事情を訴えているもので、決して拒絶ではない。
フランスの勧告書の内容は、詳細を語ることはできないが、極めて延期理由を尽くしたものである。

だが今日までの経過から、中国が帝政の延期をすることはないだろう。
回答のように、中国は動乱を未然に防ぐ対外責任があるが、事情からするとこれは空言に終わらざるを得ない。

今日の閣議はこの場合にとるべき帝国の態度を具体的に評議したもので、明日も引き続き評議する。

教育調査会特別委員会

新大学令に関する特別委員会が開かれ、特別委員会の案が決定しました。
高等学校廃止、女子大学を復活させることを決定し、御大典後に教育調査会の総会を開き、案を提出することになっています。

戦艦山城の進水式

横須賀海軍工廠で、戦艦山城の進水式が行われました。
井上元帥、加藤海相、島村軍令部長などが出席し、午後一時から行われています。

生糸、陶磁器の輸出が好調

世界大戦の勃発以来、生糸の輸出は低迷していましたが、だいぶ輸出が回復しています。
戦前の糸価格が1000円台だったものが、この3月には600円台まで下落していましたが、945円まで価格も回復しています。

ヨーロッパの輸出が途絶えているため、陶磁器も中国、アメリカ向けを中心に好調。昨年の輸出額は約400万円でしたが、今年は600万円まで届きそうです。

医学界の紛争

神田一橋学士会で、明治医会が開かれ、20名あまりが参加しました。

席上、北里研究所の古賀博士が発見した結核およびらい病の新薬に関して議論になり、「効果不明のため、大学において再度研究のうえ、結果を発表すべし」という発議がされました。

この新薬は既に全国の結核療養所で使用されており、成績良好という報告があります。その点を指摘すると、発表者の田代博士は激昂のあまり、腕まくりをしました。

土屋清三郎氏の談(元伝染病研究所、開業医)

この問題は、青山胤通博士(大学派)と北里柴三郎博士(民間派)の対立がもとになっている。この対立が解決しない限り、この種の問題は絶えないだろう。

大米龍雲の公判

午後2時から東京地方裁判所で、尼僧殺害の容疑者大米龍雲の裁判が行われました。

数百人の傍聴人が見守る中、龍雲は犯罪に関して無造作にことごとく事実と認め、裁判は流れるように進みました。

「人を殺すことを、ウサギを殺すことと同様に心得ている、凶悪獰猛な犯人である。我々とともに生存を許すべき人間ではない。」と、検事は死刑を求刑。

龍雲は「予を死刑に処すとも、被害者が生きてかえるものではない。改心した予は、なおこの世に生きて、他日供養塔を建てて、彼らの追福を祈る時を待ちたい。」と述べ、午後4時半閉廷しました。

関連記事: 8月15日

修学旅行の生徒が遭難

長崎の県立大村中学校の生徒60名が修学旅行に出かけた際、船が沈没してしまいました。
幸い昼間で、付近の漁船が救助にあたり、溺死者はいませんでした。

御大典関連

記念絵葉書、切手の発売

御大典を記念して、逓信省では御大典記念絵葉書、切手を発売します。
絵葉書は200万枚、切手は1000万枚ですが、発売後すぐに売り切れる見込みです。

御大典記念玩具

おもちゃ屋では、御大典を記念した玩具がいろいろと発売されています。

御大典人形(15銭)、御大典記念絵巻物(28銭)、メダル(25銭)、積み木(32銭)、太鼓(12銭)等々。

御大典折り紙は、筋目通り折ると、五節の舞姫や、束帯の人が出来上がるもので、10銭です。

海外

イギリス下院での首相演説

イギリスで下院が開かれ、アスキス首相が長時間演説をされています。

・連合国が最後の勝利を得ることを確信している
・各植民地の出兵に感謝する
・ロシアの勇敢な行動を称える
・バルカン、及びダーダネルス海峡戦の戦況報告
・国民の一層の努力を求める

内容となっています。

このとき

靖国丸が、地中海でドイツ潜航艇により撃沈

地中海モロッコ沖で、山下汽船の靖国丸がドイツの潜航艇により、撃沈されました。
乗組員は全員無事、戦時保険もかけてあるため、そこまでの損害はありませんが、世界大戦での日本商船初の撃沈となっています。

第三次イゾンツォの戦い終わる

イタリアとオーストリアによる、第三次イゾンツォの戦いが終了しました。
イタリア側の死傷者67,100人(うち死者11,000人)、オーストリア側の死傷者40,400人(うち死者9,000人)で、多くの死傷者を出しましたが、イタリアが若干前進したにとどまっています。


主戦場

その他の出来事

・穂積重遠(法学者)が、留学先のロンドンを去り、アメリカに出発
・宮崎県立図書館が完成(2代目)
・京成電気軌道が、市川新田(現市川真間)~中山間を開業

誕生日

高峰 譲吉(61) 医薬研究者、三共株式会社社長


索引語:イギリス イタリア 第一次世界大戦 事件 健康・医療 司法 政治 教育 文化 海軍 大隈重信

Posted by 主筆 at 2015/11/03/20:15

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