百年前新聞

2018-04-25

百年前新聞とは?

福岡捕虜脱走事件の続報、大正時代の医師事情ほか

大正4年11月25日


大正4年(1915年)11月24日の出来事

【御大典】大正天皇の神武天皇陵御親閲
【御大典】奉祝催し物の取り締まり
【社会】福岡捕虜収容所脱走事件の続報
【社会】兜町で株成金
【社会】神田区医師会問題の考察
【第一次世界大戦】ギリシャ情勢続報

国内

御大典関連

大正天皇が神武天皇陵を御親閲

24日の大正天皇は、奈良県畝傍山にある神武天皇陵を御親閲されました。
近郊から約20万人の人が集まる、大変な賑わいとなりました。

神武天皇陵:橿原市ホームページ

奉祝催し物の取り締まり

全国で奉祝の催し物が行われていますが、度を超えて風教上いかがわしいものも出てきています。

「いつまで踊り狂うか」として、警視庁では取り締まり方法の協議を始めました。

福岡捕虜収容所脱走事件

ケンペ氏の行方

脱走した捕虜のうち、陸軍中尉ケンペは、中立地帯である上海に逃げ込んでいることが判明。
久留米捕虜収容所の将校に宛てた上海からの手紙により、「友人K君が無事到着」と書いてあることから分かりました。

なおこの手紙は22日より前に届いていましたが、収容所では検閲したにも関わらず、見落としていました。ここでも管理が緩いことがうかがえます。
久留米の捕虜たちは、脱走が成功したことを理解していたと思われます。

通訳ハック氏の尋問

事件の真相を知っていると思われる、福岡捕虜収容所の通訳フリードリッヒ・ハック(28)に対する尋問が行われました。ハック氏は沈黙を守っています。

「もし日本人であれば、いかなる制裁があっても答えることはないだろう。自分に関すること以外、寸毫も陳述せず。」

と、憲兵も手を焼いている状況です。

福岡捕虜収容所は詳細を明らかにせず

捕虜の脱走に関して、福岡捕虜収容所では取材に対して答えず、すべて秘密にしています。

実際のところは、逃亡の日すら分かっていないようです。

20日、ドイツ本国から捕虜に送金があり、陸軍少佐ザクセー分を渡そうとしたところ、本人が見当たらず、そこで初めて発覚した模様。

収容所の点呼は、毎晩扉の外から姓名を読み上げて「ハイ」と答えさせるもので、将校は従卒に返事をさせていたので、分からなかった様子です。

兜町の成金

このところの株式の好況で、成金が現れています。

今回の成金は、素人が多く、玄人は少ないようです。

長野県人の森田何某は、200円を持って2か月前に現れましたが、資本が少ないのでなるべく安い株を買っていました。

6円の日本活動写真会社の株を買い、大事に持っていたところ、昨日は23円台になり、この2か月で600円近く儲けています。

相場はまだまだこれからで、これから大成金が現れるでしょう。

神田区医師会の乱闘騒ぎに対する考察

神田区の医師会で、乱闘騒ぎがあった件に関して、読売新聞が考察をしています。

関連記事:11月21日

医者の数

医者がこんな騒ぎをやるのも、要するに数が多くなって、流行らなくなったからということもある。

東京に非常に医者が増えたことは事実であり、最近の調査ではざっと5000人。
これは警視庁に届け出をしているもので、この他にもどれぐらいいるか分からない。

最も多いのが本郷区の1298人である。
浅草区に医者が少ないのは、もぐり医者、加持祈祷がさかんだからである。
深川区には89人しかいない。貧しい人たちが多いことと、大工場には特別の医療設備があるためである。

専門別でみると内科とか小児科は大体各区で平均しているが、花柳病の医者は神田区と本郷区に多いため、医者の数が多い。この両区に学校が多いこともあるだろう。

医師の履歴は、開業試験を通ったモノが2039人で、大学出が998人、医専門学校出が952人となっている。

医者の報酬

往診にはいろいろな相場があるが、一般的な開業医は、無料で往診をしている。
訪問先によっては、1円ぐらいを謝礼で包み、車代を別途出してくれる。
車代は、学士の医者だと3~5円。博士になると、10円以上となる。

これまでのお車代の最高金額は、三浦謹之助博士が土佐まで往診に行った時の3000円が最高額だろう。
もっとも青山胤通博士が中国まで行った時は1万円を貰ったが、これは5000円を早稲田の中国学生会に寄付し、3000円で皆を招待したため、収入は2000円であった。

博士の先生方は、内職で家で宅診も行っている。患者は1日5人以上は取らない掟で、若手は2円から、三浦博士は10円取っている。

*三浦謹之助医師は、宮内省御用掛。青山胤通博士は、東京帝大教授。北里柴三郎との確執で後世に名を残しています。

海外

ギリシャ情勢


ギリシャ国王コンスタンティノス1世

昨日の英仏露伊の四国大使の共同通牒に対し、ギリシャ政府は、

・連合国軍隊へ、鉄道、電信利用の便宜を図る
・ギリシャ領内での、連合国軍隊の行動は自由

という回答をしています。
一部回答を保留しているものもありますが、おおむね連合国側に配慮した内容となっています。

コンスタンティノス国王も、フランスの特派使節デニスコチン氏と会食し、暗に連合国側との交際を容認しました。


このとき


訃報: マックス・フォン・ガブリエル (画家)


1840年プラハ生まれ、享年75歳。

心理学や人類学などに造詣が深く、ドイツ語圏では19世紀末を代表する画家の一人です。
猿を愛する画家としても有名です。


誕生日


牧野 伸顕 (54) 貴族院議員
川合 玉堂 (42) 東京美術学校教授
ユーリー・マルトフ (42) メンシェビキ指導者、亡命中
阿部 信行 (40) 陸軍中佐


索引語:バルカン諸国 健康・医療 社会 第一次世界大戦 経済 統計情報 美術 訃報

Posted by 主筆 at 2015/11/24/19:06

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