百年前新聞

2018-01-22

百年前新聞とは?

インド革命党員の国外退去命令に反対運動ほか

大正4年12月1日


大正4年(1915年)11月30日の出来事

【政治】インド革命党員国外退去問題
【経済】東京株式市場の爆発 立ち合い停止
【御大典】鉄道院の営業成績
【政治】第37議会の焦点
【社会】帝国ホテルが改築へ 支配人が渡米
【社会】米国曲芸飛行家ナイルス氏の来日予定報道
【災害】千駄ヶ谷で火事
【訃報】辻 新次 (教育家)

国内

インド革命党員国外退去問題


ラス・ビハリ・ボース

28日に国外退去を命じられた、インド革命党員タクール氏(*ラス・ビハリ・ボースの変名)は、高橋法制局長官を訪問し、12月2日の国外退去期日を2日間延長してもらうように要請し、断られています。

某インド人談

今回の事件は、日印の関係上、大いに悲しむことである。
印度人は、過日シンガポールにおけるインド軍隊が反来を企てし際、日本海軍が関係したことをはなはだ遺憾としている。
今回のことで、さらに反感が増すだろう。

日本国内での反応

玄洋社総帥の頭山満、法学者の寺尾亨、宗教家の押川方義などが、今回の退去を不当とし、政府に退去命令を撤回させるよう、運動を始めました。

実業界においても、インド貿易に影響がある可能性があることから、反対の声が上がっています。

新聞論評

今回の国外退去命令は、同盟国であるイギリスからの依頼に基づくのだろう。
だが、日英両国には、国事犯の引き渡しに関する条約は締結されておらず、退去させる必要はない。

イギリスは、インドで革命党の勢力が増しているのは、敵国ドイツの支援があるからとしている。
日本もその主張に応じ、両名に独探(*ドイツのスパイ)の嫌疑により国外退去を命じているが、この両名はひとかどの紳士であり、独探ということはないと思われる。
この独探の嫌疑も非公式な説明であり、具体的な罪状はないのではないか。

アメリカやフランスでも、インド革命党員に対しては、ただ監視するのみであり、日本もそのようにするべきである。

また、国外退去の期限を12月2日までにしているが、横浜からの船は上海か香港行きとなり、これではイギリス官憲の手に引き渡すと同じことである。

これは国際慣習上、人道上、あってはならないことである。

東京株式市場が暴発 立ち合い停止へ

先日来、高騰を続ける株式市場で、30日は一挙に50円~70円高となりました。

取引所側は重役会を開き、仲買人側も委員会を開き、双方の話し合いの結果、午前10時30分で立ち合いを中止し、雑株を除き3日間の立ち合いを停止することになっています。

午前10時30分での中止は、これまでで最も早い記録であり、急に懐が温かくなった成金連中は近辺の料理店、待合に押しかけ、付近の店は大盛況となりました。

御大典関連

大正天皇は、宮中の皇霊殿において、大礼を無事終了し、東京に還幸したことを報告されました。
これで、御大典の儀式はすべて終了となります。

鉄道院の営業成績

11月1日から20日の鉄道営業成績を、鉄道院が発表しました。

期間中の乗客数は、882万3979人で、昨年の同期と比較すると約40万人の増加となっています。
御大典に伴ない、人々が各地に移動した様子がうかがえます。

第37議会に関する某政客の談

今回の議会では、予算案、乃木家再興問題、大浦事件に関する問題もあるが、陸軍火薬庫事件や、捕虜の逃走など、陸軍の軍規が緩んでいることも問題になるだろう。

しかし衆議院では同志会が絶対優位であり、野党が攻撃しても問題ないだろう。

案外、同志会の内部で、御大典での議員待遇問題が揉める原因となるかもしれない。

同志会は選挙の際、当選議員には御大典への参列を言っていたので、結局代議士全員を参列させることになった。
たが予算は代表者だけの参列だったため、その分待遇が悪くなっているのである。

これを、交通費が不足しただの、白酒黒酒の下賜が無かったとか、真面目に憤慨している議員が多く、まったく愚かな話である。

帝国ホテルの改築計画 支配人が渡米へ


ライト氏

帝国ホテル支配人の林愛作氏が、12月11日からアメリカを訪問することになり、送別会が開かれました。

帝国ホテルでは改築が計画されており、シカゴの高名な設計者フランク・ロイド・ライト氏に設計を依頼しています。
来年4月に林氏が帰国する際には、設計案をお土産に持って帰るでしょう。

なお改築は大正6年から8年までを予定しており、東洋第一のホテルになります。

米国人曲芸飛行家ナイルス氏の来日予定報道

米国の曲芸飛行家ナイルス氏(24)が、12月7日横浜着で来日する予定です。
東京で3回、大阪で2回の曲芸飛行が行われる予定です。

来日の動機は、日本に憧れを持っていたからということで、一回の飛行に対して2000円が支払われる予定です。

曲芸に使用する飛行機はアメリカから持参し、曲芸用に頑丈に改造されています。

このとき

出来事


電化されたオリンピアン号

・月刊誌「鉄世界」が創刊。日本工業新聞の前身です。

・明治学院の礼拝堂の定礎式が行われています。
 参考:明治学院

・アメリカのミルウォーキー鉄道山岳線(179km)が電化。ロッキー山脈の雪解け水で、付近に水力発電がさかんで、電力が豊富なため。


訃報: 辻 新次 (教育家)


辻新次氏

天保13年(1842)信州松本生まれ、享年73歳。

幕末に蘭学を学び、明治維新後は大学南校(*東京大学の前身)の校長となります。

その後は文部省に出仕し、内閣制度の成立後、初代文部次官となりました。

大日本教育会、後身の帝国教育会の会長を27年間務め、明治大正の教育界に重きをなしています。


索引語:アメリカ イギリス インド 政治 教育 皇室 経済 統計情報 鉄道 訃報

Posted by 主筆 at 2015/11/30/20:58

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