百年前新聞

2018-04-22

百年前新聞とは?

大倉喜八郎ら9名に授爵、インド革命党退去問題ほか

大正4年12月2日

大正4年(1915年)12月1日の出来事

【政治】帝国議会の開院
【政治】枢密院会議
【社会】大倉喜八郎氏ら9名に男爵を授爵
【社会】インド革命党員国外退去問題続報
【軍隊】新兵の入営
【教育】全国中学校校長会議
【社会】御大典会場の一般公開開始
【災害】新宿で火事

国内

第37議会の開院

大正天皇の勅語により、帝国議会が開院しました。
片岡直温氏(同志会)が奉答文を発表しています。

衆議院では、開院直後、政友会の元田肇氏より議会の休会の動議がありました。

12月2日に観兵式、4日に観艦式、9日に東京市の大礼奉祝会があり、その間に激論が起こると恐懼に堪えないため、9日まで休会し、10日より再開してはどうか、という政友会の提案です。

与党同志会側からは、「予算の成立が遅れることは、議員の職務を怠るもの」という反論があり、政友会の動議は否決されました。

2日以降の日程を説明し、初日は散会しています。

枢密院会議

宮中で枢密院会議が行われました。

枢密院側は、芳川顕正副議長以下が出席。(山縣有朋議長は欠席)
政府からは、大隈首相の代理として一木内相、石井外相、武富蔵相、加藤海相、河野農相が出席。

石井外相より、英仏露の単独不講和宣言に加入した経緯について説明し、一木内相から枢密院に提案の手続きを取らなかった顛末について報告。
石井外相は、枢密院の意見を聞かなかったことを陳謝しました。

枢密院側では、政府が枢密院の意見を聞かなかったことに対して不満の声が上がっていましたが、表面上は沈静化しています。

授爵の発表

授 男爵

 京都府知事 大森鐘一
 東京帝国大学名誉教授 穂積陳重
 大審院長 横田国臣
 博物学者 田中芳男
 東京帝国大学総長 山川健二郎
 三井高保
 大倉喜八郎
 古河虎之助
 森村市左衛門

大森鐘一氏


大森氏は静岡県士族出身。京都府における施政の功績に、顕著なものがありました。

「今回の御大典が京都において行われ、自分が京都府知事の職にあって御用を務めただけでこの上ない名誉なのに、この上思いもよらない恩命に浴し、実に恐懼に堪えない。すでに皇室の藩屏たる以上、粉骨砕身もって君恩に報いねばならぬ。」


穂積陳重氏


穂積氏は、宇和島藩士出身。学識高く、法典研究の功によります。

「自分は今回の恩命に接して、男爵を授けられるほと国家に対して功労があるという自信はない。が、早くから学界に出て、幾分力をいたしたことで恩命を賜ったということは、ありがたいことである。
この綬爵は、幾分閑却されつつある文教界に及び、文協会のためにも絶大な刺激となったと信ずる。」


横田国臣氏


横田国臣氏は、大分県平民。司法官として授爵されたのは、横田氏が初めてです。

「微力君国のために尽くさんとする意志を一層固くし、ますます奮励、子々孫々までに今日の栄誉を辱めないようにしないといけない。」


田中芳男氏


田中氏は博物学者で、特に水産関係に功績がありました。
(北海道に行っているため、コメントなし)


山川健次郎氏


山川氏は会津藩出身。資性強直、学識高く、東京帝国大学総長、九州帝国大学総長、京都帝国大学総長を歴任されています。

(貴族院に出席中のためコメントなし)
貴族院には、徒歩と電車で向かわれた、庶民的な面があります。


三井高保氏


京都三井家当主で、三井家の大黒柱として功績に大なるものがあります。

古河虎之助氏

古河氏は、鉄業界の辣腕家であり、東北・九州で、学校の創立を支援したことや、東北三県の凶作の際に、私財を寄付して救済したことが評価されています。

森村市左衛門氏


森村氏は、長年の実業界への貢献により授爵されました。

「実業の振興に関し、大御心厚き結果であり、実業界はこの恩寵に報い奉るため、今後ますます帝国の殖産興業に努力し、聖旨に沿い奉らんと欲す。」


大倉喜八郎氏


大倉喜八郎氏は、財界の巨頭で、東京、大阪、京都に商業学校を建設し、指定の育成に励んでいます。

大倉氏は授爵の報を聞くと、自ら新聞社に電話をかけ、帝国ホテルで披露会を行いました。

「今後、一層の努力の着手として、36年間、全精神と財力を傾注した大倉美術館を、地所と維持費を添えて、国家に献納しようと決心した。」と語っています。

授爵の心境を込めた和歌も発表されました。

 若枝さす 心地になりぬ 老松も
 恵みの露の かかる時には

インド革命党員国外退去問題

2日の国外退去期日前日も、せめてアメリカ向けの船がある10日まで期日を延長するべき、という運動が行なわれました。

犬養毅氏(国民党総務)は一木内相と面会しましたが、内相は「一旦発した命令を動かすことは、政府の威信に関わる」と、提案を拒絶。

政友会の床次竹二郎代議士は、石井外相と面会。石井外相も提案を拒絶しています。

退去を命じられたグプタ、タクールの両氏は、新聞記者数十名に対して、

「諸君の面前で、ドイツ国と関係なきことを宣誓す」

と、誓ってドイツのスパイでないことを宣言し、署名もしました。

同情した新聞記者は、一木内相邸に陳情に赴きましたが、内相は、

「個人としては同情すべきも、いったん命令を発した以上は、いかんともなし難し」

と回答しています。

新兵の入営


大阪朝日新聞

例年通り、全国で徴兵された新兵が入営しました。

各人の配属先が決まると、まず風呂に入り、軍服を着せてもらいます。

1円以上のお金は持つべからず、中隊長が預かって、郵便貯金となっています。

御大礼式場の一般公開開始

紫宸殿、大饗宴の会場が、12月1日から一般公開となりました。

開館前の午前8時にはすでに1万人の群衆が並び、警官70名が交通整理を行なっています。
各地から団体で来ている者も多く、「○○会」「○○団」といったのぼりも目立ちました。

初日は約6万人の拝観者があり、夜になってもこれらの拝観者で、京都市内がにぎわっています。
市電は数台の人形電車を繰り出し、祇園では都踊りが行なわれました。

全国中学校校長会議

東京高等師範学校で、全国中学校校長会議が開かれました。

高田文相が訓示を述べた際に、一人の校長が立ち上がって「大隈内閣が引責辞職をし、再び内閣を組織したことは、果たして立憲的か」と質問。

高田文相は、「畏き辺りの思し召し(*聖旨)であり、国民の疑問があれば、今回の議会で討議されるだろう」と淡々と回答。

校長は再度質問をしようとしましたが、議長は許さず、議事を進行させました。

当日の議事に、「立憲国民として、必要な思想を涵養する方法」というものがあり、その校長が、「先ほど質問をさえぎったのは立憲的か」と再度発言し、笑いに満ちた会となっています。

新宿で火事

東京電灯の新宿出張所から発火し、全焼27戸、半焼2戸、死者1名の火事となりました。
芝居小屋の大黒楼、豊玉楼も焼失しています。

このとき

出来事

・済生会芝病院が開院 関連記事:9月11日
・大阪府立医科大学が、大学昇格記念祝賀会
・大分県別府工業徒弟学校が、大分市東春日町に移転(*現:大分県立大分工業高等学校)
・登別温泉軌道が、馬車軌道として開業。登別駅から温泉まで、8.6km。
・朝鮮皇族博物館が、朝鮮総督府博物館に改名 (*現:韓国国立中央博物館)
・タイ国営鉄道で、プラチュワップキーリーカン駅からバーンクルット駅58,2kmが開業


プラチュワップキーリーカーン

・ユーフラテス川で哨戒についていた、イギリスの砲艦ファイアフライが、オスマン帝国により鹵獲


ファイアフライ

誕生日

松永安左エ門(40) 九州電燈鉄道専務
朱徳(29) 反袁世凱挙兵準備中
ゲオルギー・ジューコフ(19) 第一次世界大戦従軍中(ロシア)


索引語:インド 政治 産業 社会 議会 災害 犬養毅

Posted by 主筆 at 2015/12/01/22:16

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