百年前新聞

2018-01-24

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東京市の御大典奉祝、三毛別熊事件ほか

大正4年12月9日

東京の御大典奉祝 近代デジタルライブラリーより


大正4年(1915年)12月9日の出来事

【御大典】東京市の上野奉祝大会
【政治】第37議会
【皇室】新宮の養育掛は田内三吉氏へ
【社会】新海苔が出回り始める
【社会】三毛別熊事件
【ポーランド】占領下の新通貨制度が決まる

国内

東京市の上野奉祝大会

大正天皇の即位を記念する、東京市の奉祝大会が上野公園で開かれ、6万人の市民が御即位を奉祝しています。

この日、行幸を一目見ようと、早朝より宮城から上野公園までの沿道には、10万人以上の群衆が詰め寄せました。
小学生は、日章旗を片手に持って行幸を待ち構えています。

警戒にあたった巡査は、「私は日露戦争の時から巡査をやっているが、こんな大きな行列は今度が初めてだ。」と語っています。

上野公園では、東京市の職員が受付で働き、午前7時頃から続々と現れる参加者の応対を行いました。

午前9時、ラッパの音とともに、大正天皇は宮城を出発。

冬であるため、半屋根付きの鹵簿が用意されていましたが、大正天皇は

「今日もまた麗らかな日和よな、かかる日には無蓋の鹵簿こそ望ましけれ」

と、屋根無しの鹵簿に乗車され、沿道の群衆に会釈をされました。


読売新聞

上野公園では、大隈首相、岡陸相を除く大臣と、東郷平八郎元帥、斎藤実元海軍大臣、秋山好古近衛師団長、大島陸軍次官などの軍人、徳川家達貴族院議長、末松謙澄などの貴族院議員等々が、招待されています。

議会が行われている時節柄、後藤新平男爵の周りに貴族院議員が集まり、そこへ尾崎行雄法相が通りかかり、にらみ合う一面がありました。

寺内正毅朝鮮総督も通りかかり、後藤新平とにこやかに挨拶をしています。


午前10時10分、鹵簿は上野公園に到着し、奥田義人市長の先導のもと、大正天皇は会場に入られました。

奥田市長の挨拶、万歳三唱により、奉祝会を開始し、軍人連は声の大きさを誉めています。

大正天皇は、会場の陳列上を天覧され、午前11時には還幸されました。

松方正義侯爵の挨拶で、奉祝会は終了しています。


大阪朝日新聞 上段は上野公園奉祝門、下段は夜の宮城前奉祝門

当日は、市内の小学校、上野松阪屋や三越など主要な呉服店も臨時休業し、市内は大変な賑わいとなりました。

夜になっても、午後5時に日比谷グラウンドに2万人以上が集合し、上野公園まで提灯行列うを行なっています。
軍艦や名所を模した、趣向を凝らした提灯もあり、大変にぎやかな行列となりました。


第37議会 衆議院


長島隆二

午後2時10分より、衆議院が開会。午後11時10分までの長丁場の議会となりました。

この日の初質問は長島隆二氏(純無所属)で、「中国への帝政延期勧告は、ほとんど中止出来ない時期になって勧告したもので、時機を失したものである」と、石井外相に詰め寄っています。


鈴木梅四郎

鈴木梅四郎(国民党)は大浦事件(*9月24日記事参照)に関して質問し、尾崎司法大臣の答弁を求めました。

この答弁に対し、鈴木氏は誠意がないと詰め寄り、尾崎法相は「自分の答弁に誠意がないとならば、鈴木君の質問にも誠意がない」と喧嘩腰で回答。
一時議場が騒然とする一幕もありました。

新聞では、さすが尾崎行雄の攻撃的防御、と評されています。


新宮の養育掛は田内三吉氏


田内三吉

新宮(澄宮-後年三笠宮さま)の養育掛は、宮中顧問官の田内三吉氏に決定しました。

田内氏は高知県士族で、陸軍幼年学校卒業、西南戦争で殊勲をあげられています。
今上陛下が東宮の時に東宮付武官となり、それ以来、陛下に付きしたがってきました。
温厚謹厳、人格高く、頭脳すこぶる明晰、詩文和歌に優れ、庭いじりが趣味です。

田内三吉氏の談

不徳浅学なるに、今回の拝命は恐懼に堪えません。ただ多年、宮中に奉伺したというのみです。したがって、ただ至誠、御養育申上げるという他はない。

前例のように自宅にお預かりするのではなく、青山御所にて御養育するのである。

新海苔が出回る

新海苔が出回り始めました。17日頃より、本格的に店先に並んできます。

今年は戦乱中で、ブリキが不足しており、一缶あたり3~4銭の値上がりになっています。

このとき

北海道苫前村三毛別で、クマによる被害が発生


出典:インジエア

北海道苫前郡苫前村三毛別で、史上最悪の熊被害事件が発生しています。
体長2.7m、体重340kgのヒグマが民家を襲い、7名死亡、3名が重症する事件となりました。

ポーランドで新通貨

ドイツ、オーストリアの占領下にあるポーランドでは、ドイツ、オーストリア、ロシアの通貨が混在することになっていました。

この不都合を解消するため、ドイツの主導により「ポーランド・マルカ」という新通貨を作ることになっています。

誕生日

樺山 資紀 (78) 政界引退
ピョートル・クロポトキン (73) 政治思想家
嘉納 治五郎 (55) 東京高等師範学校校長、大日本体育協会会長
フリッツ・ハーバー (47) ドイツ科学者、毒ガス開発中

編集日誌

本日から、編集日誌を作ることにしてみます。

大正天皇の即位礼、御大典に関しては、11月の初旬から約一か月にわたって続いてきましたが、いよいよこれで最後の催し物になります。

写真を見ると、本当に日本中がお祭り騒ぎということが良く分かりますね。
人・人・人で、昨今のハロウィンの人出なんかを見ていると、昔から日本人ってお祭り騒ぎが好きなんだよなぁ、と感じるものがあります。


三毛別熊事件に関しては、ウィキペディアが相当詳しく載せているので、ここでは紹介のみとしていますが、本当、こんな大きさの熊が来たら怖いです。

ウィキペディアのこの記事の編集者も興奮したのか、「大言壮語的な記事」ということで運営に注意されています(笑)。

この本も、アマゾンでは評価がかなり高いので、相当面白いはずですが、結構描写が生々しいようで、そういうのが苦手な方は遠慮された方が良いかもしれません。



議会の様子も、今となっては無名の政治家たちの行動が分かって面白いです。

「憲政の神様」尾崎行雄は、こうして記事を作っていると、かなり人間味のある方ですね。
この時は大臣になっていますが、政権内に居るよりは、野に居るときの方が輝く人物のように感じます。



索引語:皇室 議会 社会 生活 ポーランド 寺内正毅 尾崎行雄 後藤新平

Posted by 主筆 at 2015/12/08/19:57

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