百年前新聞

2018-01-22

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上原勇作参謀総長に、ロシア巡業力士団の帰国ほか

大正4年12月17日

読売新聞 議会の控室


大正4年(1915年)12月17日の出来事

【議会】衆議院予算分科会
【議会】貴族院
【陸軍】人事:上原勇作参謀総長、一戸兵衛教育総監
【社会】ロシア巡業の大阪相撲一行が帰国
【中国】袁世凱の皇帝即位は来年1月1日か

国内

衆議院予算分科会

第一分科会:外交問題


三土忠蔵

政友会三土忠蔵議員の質問
「中国に動乱が発生しない場合は、国体変更(*袁世凱の皇帝就任)を認めるのか」

石井菊次郎外務大臣の答弁
「動乱が無い場合は、変更を認めることを躊躇しない。帝政延期勧告に関しては、説明はこのぐらいで、これ以上深く討議するのは迷惑であるから、質問はこのぐらいでやめられたし。」

政友会の松田源治氏は、アメリカ移民の待遇に関して質問し、石井外相はまだアメリカと交渉中である旨、回答しています。

なお、松田氏は納得せず、控室まで石井外相を訪れて話し込んでいます。
(冒頭の画像:一服しながら休憩する石井外相と松田氏。横でストーブにあたる尾崎行雄司法大臣)

第二分科会:内務省関連

選挙権拡張の議論がありましたが、一木喜徳郎内相はまずは現在の選挙の弊害を取り除くことが必要で、選挙制度の調査会を設けている旨を説明しています。

第三分科会:大蔵省関連

石橋為之助議員、山本悌二郎議員が、正貨流出問題について質問し、加藤政之助大蔵参政官が答弁をしています。

第四分科会:海軍省関連

加藤友三郎海相から建艦計画の説明があり、川原茂助、柏原文太郎議員が質問をしています。

第六分科会:逓信省関連

岡崎久次郎議員が航路補助問題につき質問し、箕浦勝人逓信大臣が答弁を行いました。

貴族院

この日の貴族院は、華族世襲財産法の改正、田租延納法案の審議が行われました。

田租延納法案は、先日の米価調節調査委員会の決議によるもので、法案は可決されています。

関連記事: 10月27日 米価調節調査委員会の閉会

陸軍人事異動

長谷川好道参謀総長は引退し、後任は上原勇作教育総監(59)が昇進することになりました。教育総監の後任には、一戸兵衛大将(60)が就任しています。

伊豆凡夫少将の談

けだし、適材を適所に配置したものである。


上原勇作

上原勇作参謀総長は、陸相の経験もあり、参謀総長として適格である。上原参謀総長と、田中義一参謀次長のコンビは、括目に値する。


一戸兵衛

一戸将軍は、乃木将軍の参謀で、その感化を受けた人である。徳望が高く、また勇猛果敢で、日露戦争で自ら日本刀を引っ提げ砲台を攻略したことは知られている。

上原将軍はどちらかというと手腕の人なので、教育総監から参謀総長になった方が望ましく、一戸将軍は徳望高く、教育総監になったことは真に良いことである。


極東ロシア巡業の大阪相撲一行が帰国


極東ロシアを巡業していた大阪相撲の一行が、ウラジオストクから敦賀港へ、17日帰国しました。

朝日山の談

2週間の興行でしたが、巡業先では寒さが強烈で、とうとう興行を中止したこともあって、サッパリ駄目でした。
興行中、大入りもありましたが、何しろロシア人には相撲が分からないのだから、予想したほどの収入はなく、興行主のカブリスキーはずいぶん損をしたと思います。

飛び入りで力自慢のロシア人が日ごと土俵に飛び出してきましたが、あまり一気に負かしてしまうのは愛嬌がありませんので、相当にあしらってから負かすようにしました。ロシア人も我が国の力士の力量に度肝を抜かしたようです。

海外

袁世凱の皇帝就任 1月1日か

北京の大典準備局から、各地の官憲に対し、「1月1日即位式を行うことに内定したため、そのつもりで準備すべし」という電報が届いています。

対外的には日程を発表していませんが、1月1日に即位を行う模様です。

このとき

出来事

・ドイツ軽巡洋艦「ブレーメン」が、バルト海で機雷に触れ沈没。乗員250名が死亡、53名は救助されました。

・イタリアで、ベニート・ムッソリーニが結婚式を挙げています。

・鹿児島電気軌道で、高見馬場~鹿児島中央駅前までの第二期線が全線開通しました。

誕生日

島田 三郎 (63) 衆議院議長
野間 清治 (37) 講談社社長
胡 適 (24) アメリカ留学中

編集後記

上原勇作が参謀総長になっています。

上原勇作は、第二次西園寺内閣で陸軍大臣を務め、その際に二個師団増師問題をめぐって辞任。後任の陸軍大臣を陸軍が出さず、西園寺内閣を崩壊に導いた人物です。
軍閥の横暴を象徴する事件で、大正政変の引き金になっています。

ですが、特に何のコメントもなく、普通に参謀総長になった、おめでとうございます、というような報道です。

上原参謀総長と田中義一参謀次長は、もう少ししたら激しい派閥争いを繰り広げることになるのですが、この頃はまだ関係が良好だったんでしょうね。

しかし、陸軍のボス山県有朋(長州)、前長谷川参謀総長(長州)、上原勇作(薩摩)、田中義一(長州)と、陸軍はまさに閥族ですねぇ。


伊豆少将も、凡夫という名前は、面白いです。大物になってほしいという逆説的に名付けられた名前か、それとも本当に普通の人になって欲しいと思ってつけられた名前か、どちらでしょう?

なお、大木凡人さんは芸名で、ジェームズ・ボンドからということです。


大相撲も、冬にロシアに巡業に行っては寒いでしょう・・・と思いますが、9月には東京相撲もサンフランシスコに巡業に行っていて、国際的な時代です。


連日お疲れの島田三郎衆議院議長は、この日が誕生日だったんですね。今日は出番がなく、ほっとした一日を過ごされたでしょうか? それとも、明日の内閣弾劾決議案提出にやれやれ・・・という感じですかね?

講談社は、この頃はまだまだ後発出版社ですが、野間清治氏の才覚によって大出版社となっていきます。

では、また明日お会いしましょう!


索引語:議会 陸軍 中国 鉄道 社会 事故

Posted by 主筆 at 2015/12/16/20:52

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