百年前新聞

2018-01-21

百年前新聞とは?

花井卓蔵副議長が辞任表明、在京中国革命党の集会ほか

大正4年12月19日

大阪朝日新聞

大正4年(1915年)12月19日の出来事

【政治】花井卓蔵衆議院副議長が辞任表明
【中国】在京中国人革命党員の集会
【社会】看護婦会の規則改正運動
【社会】岩倉鉄道学校の紛擾
【社会】日本医学専門学校の紛擾
【社会】薬が高い
【社会】結婚前に血統を調べるべき:遺伝学者の提案
【社会】年末賞与は何に使う?
【訃報】アロイス・アルツハイマー(ドイツの精神医学者)

国内

花井卓蔵衆議院副議長が辞表提出


花井卓蔵

花井卓蔵衆議院副議長(中正会)が、衆議院副議長の辞表を提出しました。

花井氏は、昨日の大隈内閣弾劾決議案につき、政友会・国民党の内閣弾劾案はむやみに政争を引き起こすとして反対ですが、大隈内閣の留任自体には否定的な考えを持っています。

内閣を擁護する与党(同志会・中正会・公友倶楽部)と意見を同じくすることが出来ない、内閣に注意をうながすという意味で、いさぎよく辞表を提出することになりました。

与党は花井氏の説得に努めていますが、辞任の意思は固く、後任人事に関する動きも始まっています。

在京中国人革命党の集会

東京の中国人革命党員約500名が、午後1時から先日上海で鄭汝成を暗殺し、処刑された王暁峰、王銘山に対する追悼会を行ないました。

関連記事:12月5日 上海革命党の蜂起

会場となった私立衛星会館では、中央に花輪と、亡くなった両名の碑が飾られ、壁や柱のいたるところには、「男子憂国争先死」「鉄血」といった、激烈な文字のビラが貼られています。

辛亥革命時に江南司令官だった譚人鳳氏や、前参議院議長の張継氏も参加し、追悼会という名目ながら、革命に対する絆を深める集会となっています。

会場には、袁世凱のスパイも紛れ込んでいましたが、主催者の劉大同氏は、

「彼らはこの状況を袁に知らせるだろうが、我らが結束しているのを知れば、びくつくことだろう」

と述べています。

譚人鳳氏の談


譚人鳳

袁の罪悪は、今や中国の三才の子供も知るところである。しかし彼が帝政を表明したばかりに、従来革命派にいろんな党派があったのが、このたびはその党派の別を無くして一致団結して彼を倒すべく結束することになった。

この団結は革命党と名付けるべきではなく、民国全般の意思であるがゆえに、実に中国の一大民党である。


張継氏の談


張継

今や欧州では、フランスの自由は、ドイツの専制を破ろうとして、日に数万の死者を出している。

我らは自由のために身を殺さねばならぬ。我が中国においては、今や死によってのみ、国を救うことが出来る。

第一革命(*辛亥革命)の前に、七十七士の決死事件があった。上海の蜂起は、来たるべき大革命ののろしである。大革命は既にその前曲を奏したのだ。

看護婦会が規則改正運動

東京の看護婦会の代表者約40名が集まり、規則の改正を警視庁に出願するよう、協議を行なっています。

関連記事: 11月11日 看護婦協会の陳情

出席者の談

協議の目的は、歩合が2割に減ったのを、2割5分に戻してもらうのが第一です。

次に、免状を持っていない准看護婦の給料を上げてもらうことがあります。免状を持っていない看護婦でも、長年の経験により、免状を持っている看護婦よりも技量がある者があり、実際に患者の方でも経験のある看護婦を好むのです。

第三には、看護婦会の会長は看護婦の免状を持ったものに限る、という規則を、看護婦の夫なり父親も会長になれるようにして欲しいということです。素行の取締りには、やはり男の人の力が必要です。

岩倉鉄道学校の紛擾

岩倉鉄道学校の騒動はおさまったと報道しましたが、一部の生徒はまだ納得せず、運動を続けています。

関連記事: 12月16日岩倉鉄道学校の紛擾

生徒側によると、理事や幹事は私欲に走り、教育者にあるまじき遊蕩三昧の生活をし、卒業生の就職に際し金銭の贈与を強制するなどの悪事があります。

鉄道院でもこの事情を知ることとなり、最近は岩倉鉄道学校の卒業生の採用を躊躇することもあるようです。

日本医学専門学校でも騒動

日本医学専門学校では、生徒側から早く指定学校に昇格するように希望があり、それを磯部理事長に申し出したところ、現在の設備では不十分なため、新たな設備資金が必要ということでした。

このため、生徒側は有志200名が各自40円、合計8000円を集め寄付したところ、磯部氏は今年の9月までに認定の通知があるだろう、と回答していました。

12月になっても磯部氏から回答が無いため、生徒が文部省に確認したところ、文部省では昇格に関する交渉を受け付けていないとのこと。

これに生徒一同が激怒し、300名が磯部氏のもとに押しかけましたが、磯部氏は不在であり、校長がかけつけなだめて、ようやく深夜2時頃に解散となっています。

薬が高い


大阪朝日新聞

世界大戦により、欧州からの薬の輸入が途絶え、薬が高くなり、どこまで高くなるか分かりません。

薬業者は調子に乗って、在庫品をわざとかくしてみたり、暴利をむさぼっています。

医者の方では、薬が高くなったため、患者が薬を我慢することが増えて、さびれてきています。家賃も払えない医者も増えているようです。

代薬の研究も盛んにされていて、今まであまり使ってなかった薬を使ってみたら案外よく効くということを発見したり、今まで流行らなかったアメリカ製薬品を使ったりしています。

新しく、ケシの栽培を始めた農家もあります。
ケシは米を収穫した後に植えて、そこから収穫ができ、学術的に注意して栽培すれば、阿片によって立派な収益を上げることが出来ます。

まだ野に山に薬草を求めると、案外面白いものが発見されるかもしれません。

血統や性質を調べるべき 外山亀太郎博士


外山亀太郎

今は結婚季節ですが、どうも肝要な注意を忘れているところがあるようです。

野蛮時代は、男の権力が強く、結婚においても男を主とし、女の腹を借りるぐらいに思っていました。

この考え方は10数年前まで人々を支配してきましたが、遺伝学が起こってきた結果、子供の性質に関しては両親同等である、場合によっては母親の方が大なる影響を及ぼす、ということが分かってきたのであります。

当人は精神上体質上、まったく欠点がないにしても、もしその血統に感心できぬ人があった場合には、代を経てから遺伝の徴候を現すことがあります。
当人より三代さかのぼって直系傍系に異常が認められなかったら、まず安心して結婚して差支えありますまい。

アメリカの南北戦争の際、カリカックという人が陣中で女と関係して、子供をもうけました。戦争後は、その女と子を残し、ニューヨークで一婦人と結婚しました。

今日では、両方の系統の子孫がそれぞれ600名程度になっていますが、最初の女の方は、子孫を見ると400名は馬鹿、200名はならず者である。
一方、二度目の妻の方は、軍人や代議士などになり、皆立派に暮らしており、近頃アメリカで大評判になっています。

日本ではこの種の研究はありませんが、アメリカではこのような研究が盛んで、富豪の寄付金により遺伝学の大家を集めています。

いくら教育事業をやかましく叫んでも、人間はやはり生まれつきが大事で、教育の力は微少なものであります。

金が万能のアメリカでもこの通りで、家を尊び子供を尊ぶ日本では、いっそうの注意が必要です。

年末賞与をどう使う?


山崎とま子さん

私の家には、親戚がかなりたくさんございますので、年末にお心付けに気張るつもりでおります。

星野すま子さん

年末賞与の一部は、家の財産として貯蓄し、残りは全部他人のために費やすことになっております。

松本たか子さん

私の宅では、毎月決まった金額を私が受け取るばかりで、年末賞与は主人が処決しますもので、どういう方法で使っていますかは分かりませんが、一番良い方法はと聞かれたら、やっぱり貯金とお答えします。

このとき

アロイス・アルツハイマー (ドイツの精神医学者)


Wikipediaより

1864年生まれ、享年51歳。

1906年に、記憶力低下の女性患者の症例を詳細に発表し、「アルツハイマー病」という概念を提唱しました。

誕生日

エディット・ピアフ (0) 誕生

第一次世界大戦で、連合国の捕虜を脱走させる手助けをしたイーディス・キャベルの名前から、エディットと名づけられました。(エディットは、イーディスのフランス語読み)

参考: 愛の讃歌

編集後記

東京の中国革命党の集会は、東京が革命党の根拠地になっていることが分かるので、取り上げてみました。
袁世凱からは、革命党の運動を取締るように依頼されている日本政府ですが、全くその気配はなく、逆に当てつけのように新聞にも野放しで報道させたりしています。


「薬が高い」というのは、第一次世界大戦でドイツからの輸入が途絶えたためで、経済現象としては供給が減ったため価格が上がる、という当たり前の話です。
ただ、現代だったら「薬はいりません」と医者で言っても、必要以上の薬が出て来ることも多いので、昔はそんなことなかったんだなぁ、と思って取り上げてみました。


外山亀太郎博士の話も、当時の遺伝学がどのように受け取られていたのか、が良く分かって面白いです・・・が、現代の倫理感覚とは違っていますね。現代の感覚からすると、ひどいです。

この辺は、「優生学」という分野で、当時は盛んに研究をされていました。

この優生学の考え方が、ナチス・ドイツにもつながっていきます。

現代でも、アメリカでは精子売買で有名人の精子の値段が高かったりするようですが、そんなことも思い出したりしました。


「年末賞与をどう使う?」というのも、なんてことはない記事ですが、今も昔も大問題ですね。
昔は家父長的な家庭が多かったので、夫が妻に生活費だけ渡して・・・という家庭も多かったのでしょうか? それとも、昔から女性が管理する家庭が多かったのか?
少し気になるところです。


では、本日は以上です。


索引語:議会 社会 健康・医療 中国 教育

Posted by 主筆 at 2015/12/20/16:19

follow us in feedly
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事へ 次の記事へ