百年前新聞

2018-04-25

百年前新聞とは?

名古屋監獄で火事、ほぼ全焼ほか

大正5年1月5日

大阪朝日新聞

大正5年(1916年)1月6日の出来事

【社会】名古屋監獄が全焼、脱獄者なし
【政治】ロシア皇帝名代ゲオルギー・ミハイロヴィチ大公が安東到着
【社会】消防出初め式
【国際】アルメニア人虐殺報道
【社会】徳富蘇峰の娘が救世軍に参加
【社会】大倉銃砲店に泥棒が入る
【社会】下田歌子女史の京都訪問
【イギリス】徴兵制への労働党の反対
【中国】雲南独立に対する動き続報

国内

名古屋監獄で火事 ほぼ全焼も脱獄者なし

名古屋市外の千種町にある名古屋監獄で火事があり、監獄がほぼ全焼しました。幸いにも脱獄者はなく、負傷者も少なめです。

午後6時40分頃、監獄内中央部の看守休憩所の煙突から失火。折からの強風にあおられ、独居房3棟、雑居房2棟。工場2棟、付近の物置など、約800坪、工場700坪を焼き、9時30頃に鎮火しました。

市外で水道の設備がなく、水の便も悪かったため、消防隊が十分に活動出来ず、被害が拡大しています。刑の軽い受刑者も、消火に参加しました。

出火後、看守は2,320人の囚人と被告人全員を空き地に集合させ、全員を正座させて、剣を抜いて脱獄者が出ないよう、厳重に警戒を行なっています。

門外でも警察官と憲兵が数百名、いずれも剣を抜いて警戒にあたり、第三師団からも歩兵124名が警戒にかけつけました。また、工兵60名が消火にあたっています。

煙突の不良が原因と思われ、損害額は13万5千円程度と思われます。

監獄は無くてはならないものであり、今議会に追加予算を提出する必要がありますが、それにしても建築に2年程度かかるため、囚人をどこかに移転させる必要があります。

ロシア皇帝名代ゲオルギー・ミハイロヴィチ大公が安東に到着


ミハイロヴィチ大公

ロシア皇帝の名代として、大正天皇の即位を祝うため、ロシアのゲオルギー・ミハイロヴィチ大公が、中国と朝鮮の国境安東に到着しました。

寺内正毅朝鮮総督が安東まで出迎え、日本まで同行することになっています。

大公は12日東京着予定で、大正天皇が東京駅まで出迎えをされる予定です。

消防出初め式

東京では上野不忍池にて、出初め式が行なわれました。

消防署員2400名が参集し、19台の蒸気筒、20台の水管馬車、40台の竹梯子などで放水の操練を行なっています。

操練の後は、名物のはしご乗り、さすまた乗りが行なわれ、観衆が妙技に見入りました。

大阪でも1月6日に出初め式が行なわれています。

アルメニア人虐殺報道

外国の新聞によると、昨年11月に、アルメニアで再度大虐殺が行われています。

これまでもアルメニア人の迫害はありましたが、世界大戦によりトルコと英米との外交が途絶えているため、虐殺がひどくなったのでは、ということです。

約20万人が死亡したとされ、ロシア領に逃亡したものが25万人、また多くは故郷からわずかに身一つで逃れているため、途中で飢餓のために行き倒れになった者も多数います。

トルコが発表した虐殺の理由は、アルメニア人がロシアと通じて独立を計画したということですが、現時点ではその当否は不明です。

この虐殺は、陸相のエンベル・パシャと、内相タラット・ベイが主導している模様です。

徳富蘇峰の娘が救世軍入り

ジャーナリストの徳富蘇峰氏の令嬢が、救世軍に入って慈善活動をされているようです。

徳富家で救世軍の山室軍平大佐を招いて話を聞いた際に感化され、それから毎週日曜日に参加するようになり、昨年の11月に入隊されたとのこと。

父蘇峰氏も、令嬢の活躍を非常に喜んでいるようです。

(*別の新聞では、蘇峰氏は「救世軍には入ってくれるな」となっていました。)

大倉銃砲店に泥棒、ピストルが盗まれる

京橋区の大倉銃砲店で、夜間泥棒が入りピストル25丁が盗まれました。

通用口側の窓を割って侵入しており、警察では内部を知る者の犯行ではないかと調査しています。

下田歌子女史の京都訪問


下田歌子(実践女子学園ホームページより)

御大礼式場を拝観した、下田歌子女史を京都の旅館に訪問し、話をうかがいました。

関連記事: 11月20日 御大礼式場の拝観が許される


大阪朝日新聞

今回は150名の子供(実践女学校の生徒)を連れてまいりましたので、なかなかに骨が折れますが、子供たちは元気でよほど面白うございます。

桃山御陵にも参拝をし、深き感じに打たれましたが、御陵参拝の人が、雪が降るにも関わらずおびただしいのには驚きました。

我が国民は近来尊皇愛国の心が薄くなった、などと申すものがあるそうですが、あのおびただしい参拝者を見ては、なかなかそんな心配はないと私は嬉しく思いました。

歌ですか、子供をたくさん連れてまいりますと、心配事が多くてなかなか歌を作る余裕もありません。今晩静かに寝ながら考えてみようと思います。サァできるかどうか、そこはちょっと疑問です。

私は京都の万事古風なところを愛しております。京都は長い間都でありましたから、自然京都付近の人々の頭にはとりわけ尊皇の心が深くしみわたっているように見受けられます。これは誠に結構な点であります。

近来、非常に西洋にかぶれる風がありますが、婦女子の中にもヨーロッパの思想などに心酔しまして、新しい女というようなものが出来ました。

私はどうしても日本固有の婦人でありたく思うのです。女子教育もなかなか難しいもので、いろいろなことをやってみたい婦人もあるので、なかなか難しいのです。

昨年の御大典は、振古未曾有の結構なことでありました。
これにより埋もれていたわが国固有のことが世の中にあらわれて、人々の戒めになったことは数々ありまして、これが何よりもありがたいことであります。

何と申しても、日本は日本の固有の精神を失ってはならないと存じます。

海外

イギリス労働者大会が徴兵制反対決議

イギリスの労働者大会が開かれ、7万8千対199万8千の圧倒的多数で、徴兵制に反対の決議を行ないました。

労働党の議員ヘンダーソン氏は、政府の立場も了解して欲しいと演説しましたが、それも徒労に終わっています。

これに伴い、労働党議員で内閣に関わっている教育院総裁ヘンダーソン、内務次官ブレーン、大蔵次官ロバーツの3氏は、内閣からの辞任を表明しています。

中国の雲南省独立に対する動き


黎元洪

中国政府は、全国の郵便・電報局に、雲南から、もしくは雲南への郵便物を検閲するよう命じています。

実力者の黎元洪に対しては、袁世凱は親王の位を与えて懐柔していますが、黎元洪は親王を受けず、郷里に帰りたいと懇願している模様です。

湖南省では、革命党が帝政反対を迫り、湯将軍に対して独立の宣言を迫っている、一説によると湯将軍は暗殺されたという報道もあります。

清朝の再興を目指している張勲は、雲南討伐のため出征すると袁世凱に請願しているとのこと。

袁世凱は雲南討伐のために新式軍4万人を動かす予定ですが、過半数は段祺瑞将軍の指揮下にあり、現在段祺瑞は帝政に反対して行方をくらましているため、この新式軍が動くかどうかは不明な状況です。

このとき

連合国軍がガリポリから撤退を開始

ダーダネルス海峡に遠征していた英仏連合軍が、ガリポリ半島からの撤退を始めました。

英仏軍は空砲を打ち、トルコ軍の目をくらましながらの撤退をしています。

その他の出来事


キング・エドワード7世

・日本統治下の朝鮮で、教員心得が公布されています。(植民地教育を徹底)
・勝田主計が朝鮮銀行の総裁新任の披露を、朝鮮ホテルで行ないました。
・イギリスの戦艦キング・エドワード7世が、ドイツ軍の設置した機雷に接触し、沈没しました。死者はありません。

誕生日

伊藤 伝右衛門 (55) 筑豊の炭坑王
床次 竹二郎 (49) 衆議院議員(政友会)

編集後記

名古屋監獄で火事があり、やはり監獄ということもあって大騒ぎだったようですね。
東京の出初め式の話題がありましたが、名古屋でもやっているんじゃないかと思われ、新年早々大忙しでした。

地図で見ると、名古屋市千種というのはかなりの市街地ですが、この頃はまだ水道も通っていない地域だったようです。

現在は、刑務所の跡地は吹上公園という公園になっていて、個人の方のブログを見ると、公園に多少レンガの跡があるようですよ。


ロシア大公の来日は、大正天皇の即位礼のお祝いということで、またもや日本国内がお祭り騒ぎのように出迎えることになります。
本当、当時の人は熱狂しやすいです。人間が素朴な感じがします。

僕は以前ベトナムに行った時(10年以上前ですが)、本当に人間が純朴だなぁ、と感じましたが、それと同じような感覚なのかな、と思います。
仕事で行ったのですが、こっちが強いことを言ったらちょっと泣きそうになったり、自転車が洪水のように通っている道路を渡るのに手をつないで先導してくれたり、本当良いところでした。

さておき、このロシア大公の来日も、実は裏で日露の同盟という狙いがありました。第一次世界大戦でロシアはドイツと戦っている以上、背面の日本の支援が欲しい、というのは良く分かります。
その交渉相手として、朝鮮総督の寺内正毅が出向いている、という意味合いもあります。(寺内正毅は次の首相、陸軍大臣を長く勤めて、元老山県有朋の側近)


アルメニア人の虐殺に関しては、写真を載せようかと思いましたが、ちょっと残虐な写真が多いので、写真は掲載しませんでした。
*ご興味のあるかたは、英語版のウィキペディアをご覧ください。


アルメニア人はトルコ領内のキリスト教徒で、そのためにトルコから迫害されています。同じキリスト教徒として、アメリカ・イギリスなどがトルコに干渉していました。


下田歌子さんは、実践女子学園の創立者です。

元々、宮中に仕えていて、皇后の信任が厚く、実は奥の世界のボス的存在だったようです。ロシアほどではないですが、君主制には奥の世界の話がつきもの、ということで、取り上げてみました。


中国に関する新聞報道は、本当にいろんなことが断片的に出てきていて、信憑性に多少疑わしいところはあるのですが、とりあえず新聞に出てきていることを掲載しています。それだけ混乱している、ということですね。


最後に誕生日、伊東伝右衛門さんは、NHKの朝ドラ「花子とアン」をご覧になった方は、柳原白蓮(ドラマでは蓮子様)の旦那さんです。

この時は白蓮さん30歳で、この時はまだ夫婦を続けていますよ。


ではでは、本日は以上です。


索引語:災害 ロシア 政治 トルコ 社会 中国 イギリス 朝鮮 事件

Posted by 主筆 at 2016/01/06/00:08

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