百年前新聞

2018-01-22

百年前新聞とは?

貴族院の反政府熱、美術学校で断髪令ほか

大正5年1月23日

大正5年(1916年)1月23日の出来事

【政治】某貴族院議員が貴族院の形勢を語る
【皇室】大正天皇と澄宮さまが初の対面
【航空】雄飛号 また飛行失敗
【外交】ロシア大公は関西へ
【教育】美術学校で断髪令
【中国】雲南独立政府の声明

国内

某貴族院議員(幸俱楽部)が貴族院の形勢を語る

兵器売却問題に関して、あくまで貴族院が現政府に反対し、内閣を崩壊させて乗っ取りを計画している、などと言われるのは、憶測もはなはだしい。貴族院議員として、あくまで政府の非をただしているのみである。

問題を合理的に解決するために、同問題に関する法律案を提出するよう、好意的に政府に勧めたにもかかわらず、政府は面目上このような法律案を提出することができないとして、貴族院側から提出してくれと言っている。これは、我々の好意を無視し、自己の責任を他に転嫁しようとするものである。

これでは政府の誠意を疑わざるを得ない。我々がやかましく言うのは、兵器売却そのものではなく、形式が違法であることを攻めているのである。政府が誠意ある解決方法を取れば、我々も反対するものではない。

また、海軍補充問題の将来の方針、減債基金還元などにも、誠意ある対応を示す必要がある。

もし政府が誠意ある対応をしないのであれば、この為に政変が起こっても、あえて辞さない。

貴族院は衆議院のように、政党に拘束されず、ただ正義の下に行動しているので、当然の成り行きである。

澄宮さまが大正天皇と初の御対顔

昨年12月に生まれた澄宮さま(現:三笠宮さま)が、初めて宮中に参殿し、大正天皇と御対顔を果たしました。
大正天皇は、丸々と肥立ちした息子を見て、大変ご満足だったようです。

雄飛号は帰航失敗


応急修理が終了した飛行船雄飛号は、所沢飛行場に向けて午前7時40分に大阪城東練兵場を離陸しましたが、発動機に故障があり、7時52分には再び着陸しました。

陸軍当局の談

今回の雄飛号の失敗は、発動機その他の機関の故障が原因で、飛行船の型式によるものではない。

飛行船には、硬式、軟式、半硬式の三種類があり、軟式は格納上は便利だが、風に対する抵抗力が弱い。硬式は風力に対して強いが、格納には多大な不便がある。

よって陸軍は、その折衷の半硬式を採用しているのである。

本日のロシア大公

ロシアへ帰国中のゲオルギー・ミハイロヴィチ大公は京都に到着し、寺内正毅朝鮮総督の案内で伏見桃山の明治天皇陵を参拝されました。

その後大阪に移動し、大阪砲兵工廠でロシア向けの兵器の生産をご覧になり、偕行社で古美術品をご覧になっています。

美術学校で断髪令:学生の不満


正木直彦校長

1月8日の東京美術学校の始業式で、正木校長が下記の訓示を行ないました。

・長髪で登校するを許さず
・和服で登校するを許さず
・縞ものの外套を着て登校するを許さず

正木校長は風紀の取り締まりを意図していますが、美術学校の学生は自由を尊重し、個性的であることに敏感であるため、不満が高まっています。

学生たちの動きが注目されています。

海外

中国の雲南独立政府が声明を発表

袁世凱の皇帝就任に反対し、独立を宣言した雲南省が、各国の公使に対して電報を発しました。

・雲南政府に対して、各国の中立を求める
・帝政運動開始以前の条約協約借款賠償は有効と承認する
・外国人の生命財産は保証、保護する
・帝政運動後の袁世凱との条約契約は承認せず
・袁世凱政府へ戦時禁制品を送るものがあれば、見つけ次第没収する

このとき

出来事

・スペインの作曲家エンリケ・グラナドスが、アメリカのリサイタルで「詩的なワルツ集」を演奏

・徳島捕虜収容所のドイツ人捕虜ヘルマン・ハンゼン率いるオーケストラが、ベートーベンのヴァイオリン協奏曲を日本で初めて演奏

誕生日

ダフィット・ヒルベルト (54) ゲッティンゲン大学教授(数学)
川島 浪速 (50) 満蒙独立運動支援中
宮崎 滔天 (45) 大陸浪人
曹 汝霖 (39) 中華民国外交部次長
アントニオ・グラムシ (23) イタリアの社会主義者

編集後記

澄宮さまが大正天皇と初の御対顔ということで、生まれてから一ヶ月以上も顔を会わせてなかったんですね。いろいろとしきたりがあって、現代よりも皇室の方々は窮屈だったんでしょうか。

このとき、では音楽関係の話題が続きました。
「このとき」欄は、日付検索でインターネットから拾った情報を掲載しているのですが、軍事・鉄道・音楽関係は、日付をウェブ上に記載されている方が多いです。
本編には書きませんでしたが、川端康成の初恋の相手の叔母さんが離婚した日でもあるようです。

誕生日欄で調べていたら、先日の袁世凱への清朝復興の反乱に、川島浪速氏が関わっていて、その背後には大隈内閣と関東軍の意向があったとのこと。
日本の中国への干渉には、底が深いものがありますね。

宮崎滔天氏も孫文の支援者で、「花子とアン」をご覧になった方だと、蓮子様が駆け落ちした相手のお父さんです。

では、本日は以上です。


索引語:政治 皇室 航空 ロシア 教育 美術 中国 音楽

Posted by 主筆 at 2016/01/21/17:45

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