百年前新聞

2018-01-22

百年前新聞とは?

雄飛号が帰還飛行を中止、西の海が横綱昇進ほか

大正5年1月24日

大正5年(1916年)1月24日の出来事

【航空】雄飛号の所沢への帰航は中止
【政治】山県大隈会談
【外交】本日のロシア大公
【台湾】台湾銀行頭取交代 桜井鉄太郎氏に
【スポーツ】西の海が横綱昇進
【訃報】大林芳五郎(実業家)

国内

雄飛号の帰航は中止


大阪朝日新聞

所沢飛行場まで帰還する予定だった飛行船雄飛号は、ついに復路の飛行をあきらめました。

23日は徹夜で修理を行ない、24日に再度飛行するよう乗組員一同は意気込んでいましたが、風が強く飛行は困難な状況でした。

飛行が困難なだけでなく、繋留の綱を握っている兵士もあちらこちらに引きずられる状態で、午前3時には応援の兵隊も来ています。

朝になっても風力が強くなる一方で、風速25メートルを越えた午前6時に、益田船長は帰航中止を決断して、上官に電報を打ちました。

午前7時30分にプロペラを外し、ガスを抜きましたが、途中で中の骨組みも折れてしまっています。

正午には大体の解体作業が終わり、夜の列車で所沢に送り返すことになっています。
総重量は約7トンです。

なお、今回の苦い経験から、雄飛号は機関系をすべて改造することになりました。


益田船長

今回の所沢〜大阪間の長距離飛行は夜間演習の一つで、目的は無事に往復するということだったので、風のために解体の手段をとるのは遺憾至極である。

ただ目的は冒険でなく研究にあるのだから、まぁこんなものと思ってあきらめるのだ。全部解体し、今夜8時の梅田発の列車で所沢へ送還する。自分らは明日出発する予定である。

大隈重信と山県有朋が宮中で会談

昨日の澄宮殿下との御対顔の祝辞を述べに、大隈首相が宮中に参内しています。宮中で、お召しになった元老山県有朋公爵と約一時間会談を行ないました。

内容は不明ですが、外交問題と貴族院の調停に関して話をしているのでは、と思われます。

本日のロシア大公


ミハイロヴィチ大公

本日のゲオルギー・ミハイロヴィチ大公は、午前中は寺内正毅朝鮮総督の案内で、京都の紫宸殿、二条離宮などをご覧になりました。
その後、西陣織を見学し、大阪に向かわれています。

大阪市の歓迎式出席後は、実業家の久原房之助氏の邸宅に招かれ、同家秘蔵の書画や器物、お茶を楽しまれました。

久原家ではロシア式の晩餐を用意し、久々のロシア料理を堪能されています。
ハルビンから取り寄せた材料などもあり、一人前100円、26人前で、日本一華美な饗宴と評されています。

台湾銀行頭取交代

柳生一義氏が依願退職した台湾銀行の頭取は、後任に桜井鉄太郎氏が任命されました。

大関西の海が横綱昇進

初場所で優勝した大関西の海(35)に対し、相撲協会が全会一致で横綱に推薦することが決定しました。相撲の家元の吉田司家も、異議はないと思われます。

西の海談

朝起きて新聞を見ると、私が横綱になるということが書いてあるので、嬉しうござんした。ところが役員会議ではどうなることか、反対も出るだろうと思っていましたのに、ただいま通知に接しまして、なんだか夢のようです。

ですが嬉しがってばかりもいられません。横綱となれば大関以上の責任がありますから、横綱の名に背かぬよう、またひいきの方々に報いるよう努力したいと思います。

西の海の妻 おくわさんの談

お陰様で今場所は意外な好成績を得て、協会の方々のおかげで横綱にしていただきましたのは、何より嬉しうございます。

こうなるとさしあたり花柳界や茶屋の暖簾、行司の装束、検査役の羽織、呼び出しその他の費用が4500円ほど入用だそうですが、昨晩の井筒会で幹事の方が、「会の方からその費用を出してやろう」とおっしゃいまして、本当にありがたいことです。

海外

北京駐在の日置公使が、政府の陸外交総長を訪問し、日本としての第三回目の帝政延期勧告を口頭で伝えています。

雲南独立軍と討伐軍の間で、四川省南部で戦いが進行中です。

このとき

出来事

ラフマニノフがヴォカリーズをモスクワで初演。自身がピアノを演奏し、初演のソプラノ歌手アントニーナ・ネジダーノヴァに捧げた。

訃報: 大林芳五郎(実業家)


大林組百年史より

元治元年(1864)大阪生まれ、享年51歳。

9歳で父を亡くし、10歳から呉服屋に丁稚奉公に出ました。18歳で独立するも失敗し、東京に出て建設請負の修行を始めます。

皇居造営工事などで経験を積み、28歳の時に大阪で独立を果たしました。
日清、日露の好景気を捉え大阪築港工事、内国博覧会、軍関係の仕事などを次々に受注し、大林組を全国的企業に育てられました。

参考サイト: 大林組百年史

誕生日

河本 大作 (33) 陸軍軍人
松村 謙三 (33) 報知新聞社を退職し、富山県帰郷中

編集後記

雄飛号は残念ながら、所沢への帰還を中止しています。
ただこうして見ていくと、故障が連続しているので、むしろ大阪まで到着したというのは、すごい快挙だったように思います。

ロシア大公を接待した久原房之助氏は、日立やJXホールディングスの創業者です。一人前100円、現在の価値で30〜50万円ぐらいと考えると、本当に豪華な食事ですね。

西の海は、35歳で最高齢の幕内優勝だったとのこと。ちょっと高齢だったので、横綱になってからはあまり活躍できなかったようです。

大林芳五郎氏に関しては、大林組さんの社史に詳しく書かれています。明治の産業勃興期に財をなされた方です。

誕生日欄では、河本大作と松村謙三はまったく同じ日に生まれているんですね。
ただの偶然ではありますが、片や軍人として張作霖爆破事件を引き起こし、生涯中国に関わった軍人。片や政党政治を貫こうとした政治家、と思うと、対照的な人生を歩んでいます。

では、本日は以上です。


索引語:航空 政治 ロシア 台湾 スポーツ 訃報 産業

Posted by 主筆 at 2016/01/23/20:15

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