百年前新聞

2018-01-22

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貴族院の形勢緩和、満州での飛行演習計画ほか

大正5年1月27日

大正5年(1916年)1月27日の出来事

【議会】貴族院予算分科会
【政治】平田東助が山県有朋の意を受け、調停に動く
【陸軍】戸山学校の終業式、大正天皇も行幸
【外交】本日のロシア大公
【社会】鈴ヶ森お春事件の弁護士が刑事の処分を迫る
【航空】陸軍航空隊の満州での演習計画
【オーストリア】後備役の招集

国内

貴族院予算分科会

本日も貴族院予算分科会が開かれました。

第三分科会 内務省関連


高木兼寛

高木兼寛男爵より、

「医師に一定の診察料制度がないため、別に薬が必要ない者にも薬を売りつけて、かえって国民の健康を害すこともある。よって診察料制度を作り、医師が薬を売ることを厳禁してはどうか」

という質問があり、

一木喜徳郎内務大臣は、

「医薬分業は望ましいが、我が国の現状はそこまで進歩していない。診察料を法律で規定し、売薬を禁ずることは不可能だが、国民の健康を害することもあるということであれば、考慮すべき問題である。」

と回答しました。

第六分科会 植民関連

朝鮮の人口は1500万人。
明治43年(1910年の併合時)の日本人は17万人で、大正3年は29万人と、朝鮮半島在住の日本人が増加している旨の報告がありました。

貴族院の形勢緩和


平田東助

反政府熱が盛んで、追加予算不成立の可能性もあった貴族院では、大隈重信首相から山県有朋公爵への依頼により、平田東助子爵が形勢緩和に動いています。

なおも強硬派は反対を続けていますが、とりあえずなんとか追加予算が成立しそうな状況になってきました。


陸軍戸山学校終業式 大正天皇も行幸


大正天皇

陸軍戸山学校の終業式が行なわれ、大正天皇も行幸されています。

長谷川好道元帥、川村景明元帥、上原勇作参謀総長、一戸兵衛教育総監、等々の御歴々も出席し、生徒たちの体操、軍刀術、銃創術などをご覧になりました。

この体操はスウェーデン式を基礎に改良した、これまでにはない新しい体操です。


陸軍航空隊 満州に出発


陸軍航空隊が満州において飛行演習を行なうため、所沢飛行場を出発しています。

冬場の満州で、極寒の中で発動機の耐久性、操縦者の防寒方法を、約2ヶ月に渡って研究する計画です。

参加飛行機は4台、すべて分解して輸送され、数十名と一緒に29日に宇品(広島)を出発する予定です。

本日のロシア大公


昨晩京都を出発したゲオルギー・ミハイロヴィチ大公は、朝8時45分に広島駅に到着し、小原師団長、寺田知事らが出迎えました。

多数の奉迎の中、大公は宇品線に乗り、宇品から御召艦鹿島に乗り、呉に向かわれました。
呉海軍工廠を視察し、それから宮島を観光されています。

小守壮輔の弁護人、布施辰治が拷問した刑事の処分を要求

お春事件の被疑者で、先日釈放された小守壮輔の弁護人、布施辰治氏が、小守氏を拷問した刑事の処分を迫っています。

処分がない場合は、告発をして、あくまで争うと、東京地方裁判所検事局に申し出をしました。
検事局では、捜査が終わり次第、遠からずその希望に沿うだろう、と回答しています。

海外

オーストリアが後備兵を招集

オーストリアでは、兵士の補充として47、48歳の後備兵に対して招集をかけたと、中立国を通じた報道があります。

このとき

出来事

・雲南省に続き貴州省が、反政府、独立を宣言しています。(中国)

・夏目漱石が湯河原温泉を訪問、リュウマチ治療のため約20日間滞在。
 湯河原温泉観光協会公式サイト

・山形県で谷地軌道が開業。神町(東根市)〜 谷地(河北町)間 5.6km。(*1935年廃止)

誕生日

東郷 平八郎 (68) 海軍元帥
宋 慶齢 (23) 孫文の妻
矢内原 忠雄 (23) 東京帝国大学学生

編集後記

この日の貴族院で発言している、高木兼寛男爵は海軍軍医総監を務めた方で、脚気の予防のために海軍にカレーを導入された方です。

広島のお土産に、呉の「海軍カレー」がありますが、これも高木氏がいなかったら無かったかもしれません。

脚気論争では、陸軍の軍医総監森林太郎(森鴎外)と対立していましたが、脚気に関しては高木氏の主張が正しかったことが、現在では分かっています。

慈恵医科大の実質的創設者でもあります。


貴族院と内閣は険悪な状態なっていましたが、大隈重信首相が山県有朋に調停を依頼して、山県の子分平田東助が形勢緩和に動いています。
ここでも、山県有朋の権力者ぶり、大隈も結局は山県に頼まざるを得ないパワーバランスがあったことが見てとれますね。

鈴ヶ森お春事件の弁護士布施辰治さんも、この事件を機に大物弁護士になったということです。

陸軍航空隊は、前年の夏の新潟への飛行演習秋の東北飛行演習、つい先日の雄飛号の飛行演習に続いて、満州での演習計画を行なっています。

航空界の黎明期で、着々と実績を重ねてきている様子がうかがえます。
海軍も飛行演習を行なっている記事も多少はありますが、陸軍の方が先行しているようです。

オーストリアでは、兵力の補充に48歳までの後備役が招集された、という記事があります。もう50になろうとしている兵士まで招集・・・ということは、かなり苦しい状況にあることが分かりますね。


孫文の妻であり、後に中華人民共和国の副主席となった宋慶齢さんと、後に東京帝国大学教授となり、太平洋戦争に対する反対運動を続けた矢内原忠雄氏は、同じ誕生日ということです。

これも単なる偶然ですが、同じ日に生まれて、全く違う人生を送るようになった人を取り上げてみるのも面白いと思います。(歴史ブログや雑誌のコラムのネタとして)

ではでは、本日は以上です。


索引語:議会 山県有朋 皇室 ロシア 事件 陸軍 航空 オーストリア

Posted by 主筆 at 2016/01/26/22:35

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