百年前新聞

2018-01-23

百年前新聞とは?

弁護士協会が鈴ヶ森お春事件に関し人権保障を訴える ほか

大正5年1月31日

大正5年(1916年)1月31日の出来事

【貴族院】追加予算成立せず ー 2月5日まで延期
【司法】 弁護士協会が鈴ヶ森お春事件に対し、人権保証決議
【社会】 在日セルビア人による義援金集め計画
【経済】 生糸市場が好調

国内

貴族院が追加予算の承認を延期


三島弥太郎

本日も貴族院予算総会が開かれ、政府提出の追加予算は審議不十分ということで、2月5日まで延期されることになりました。

貴族院側では、公債基金から鉄道会計に2千万円を繰り入れる件を削除するように求めています。

貴族院は否決した場合は、両院協議会に持ち込まれることになりますが、このまま大隈内閣が総辞職となる可能性も否定できません。

日銀総裁でもあり貴族院議員でもある三島弥太郎子爵が、政府と議員の間の調停に奔走しています。

弁護士協会が鈴ヶ森お春殺し事件に関し、人権の保証を求める決議

日本弁護士協会が評議委員会を開き、鈴ヶ森お春事件に際して無実の罪で捕らえられ、拷問により自白を強要された件に関し、人権の保障を求める決議を行ないました。

弁護士協会では調査委員20名を選出し、

・小守壮輔が拷問された事実の有無
・事実があれば、この責任の所在
・警視庁の操作方法の改善
・刑事訴訟法の改正等々

に関して調査を行う予定です。

調査委員には、花井卓蔵、小川平吉、高木益太郎などの弁護士資格を持った衆議院議員の名前もあります。

セルビアに義援金

外国語学校の教師 トドロウィッチ氏はセルビア出身のロシア人で、第一次世界大戦で国土が占領されている母国に関する講演を行ない、その収入を赤十字社に寄付することになっています。

トドロウィッチ氏談

セルビアの軍隊はもうすっかり国土を退却してしまったが、損害は対して受けていない。大部分はアルバニア付近の島々にいるらしい。セルビア軍の方針は、連合軍側と共同で、大々的作戦に出る機会を待っているということだ。

セルビア軍が退却に困難を感じたのは、住民を保護しながら国土を落ち延びなければならないことだった。

国民の退却にあたり、ブルガリア人のために生きたまま100人以上が焼き殺された、という悲しい事実もあった。逃げ迷える国民は、山林や山腹の洞穴などで、飢餓と寒冷による死屍を累々と重ねている。

セルビアにいる友人の新聞記者からの最近の手紙によると、セルビア軍隊がベオグラードを退却するにあたり、その通告をドイツ軍に送ってもはや何らの抵抗もしないことを知りながら、ドイツ軍は首都を出る大路をふさいで、絶えず砲撃を続け、さらに飛行機で多数の国民に砲火を浴びせたのである。

生糸市場が好調

生糸の値段が上昇を続け、明治40年以来の最高値を更新しています。

第一次世界大戦勃発当初の需要の落ち込みから、蚕糸業者が休業して品薄であるところに、アメリカの好景気により注文が殺到していることが、好調の原因です。

海外

日本が中国からの依頼を拒否

先日来日したロシア大公(ゲオルギー・ミハイロヴィチ大公)のお見送りに、中国からも使節を派遣して満鉄に同乗させたいという希望がありましたが、北京駐在の日置公使がこの依頼を断っています。

このとき

ドイツ軍の飛行船がリバプールを空襲、70人が死亡し113人が負傷。

編集後記

本日も特に大きな出来事はありません。

ロシア大公のお見送りに、中国が使節を満鉄に乗車させたいという依頼を、日本が断っています。なんて日本政府は意地悪なんでしょう・・・と思ってしまいます。

大隈重信首相と石井菊次郎外相はあくまで反袁世凱で、山県有朋はどちらかというと親袁世凱です。国の指導層の方針が違うだけでなく、この頃の世論も国論を二分する問題です。

ただ、山県が親袁世凱なのに、参謀本部は反袁世凱で革命党や清朝復辟(ふくへき)運動を支持しており、山県有朋の陸軍への影響力もやや衰えているんでしょうね。

今後の更新に関して


昨年の8月から毎日更新してきた百年前新聞ですが、少しずつですが読者の方が増えてきて、大変ありがたく思います。

ただ、上記の表を見ていただいて分かる通り、半年やってようやく月間3000ページビューぐらいで、一記事あたり半日ぐらいかかかる現在のやり方だと、このまま続けることは出来無さそうです。

よって2月からは、新聞記事の抜粋を減らして、週1回の更新頻度にしたいと思いますので、ご了承のほど宜しくお願い申し上げます。


索引語:議会 バルカン諸国 司法

Posted by 主筆 at 2016/02/01/09:58

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