百年前新聞

2018-04-23

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)2月15日から21日

大正5年2月16日

1916年(大正5年)2月15日

鈴ヶ森お春事件の小守壮輔が証人に

鈴ヶ森お春事件の容疑者として、10ヶ月間獄中に捕らえられ、無罪となり出獄していた小守壮輔が、東京地方裁判所検事局に召喚されました。

被告であった地位から一変し、拷問事件の証人として小原検事から取り調べを受けています。

関連記事:小守壮輔の釈放

小原検事の談

警察官に対する拷問に関しては、未だ捜査中で起訴の運びとはなっていない。

検事局としては、一刻も早く疑惑を一掃することを希望し、誤りは誤りとして、公明正大に捜査の完了を急いでいる。

大阪府茨木中学校に日本初のプール


「面白きことなき世を面白く」さんのサイトより 1920頃

大阪府の茨木中学校に、日本初の学校プールができました。

南北30メートル、東西18メートルで、生徒たちが手作業でプールを掘りました。
水は近くの茨木川から引いてきて、「水泳池」と呼ばれています。

なお茨木中学校には、川端康成、大宅壮一が在学中です。

(現在の茨木高校には、「日本近代水泳発祥の地」の碑があります)

参考サイト:「面白きことなき世を面白く」さんのページ

その他の出来事

【地方】 和歌山県で山東軽便鉄道が開業。大橋〜山東駅間 (現在の和歌山電鉄貴志川線)

1916年(大正5年)2月16日

出来事

【外交】 イギリスの軍艦派遣要請(9日)に対し、交換条件としてオーストラリア他の植民地での、日本人移民の待遇改善を要望。オーストラリアでは、白豪主義が徹底されています。

【産業】 日本グリセリン工業株式会社設立。

 第一次世界大戦によりグリセリンの輸入も途絶え、国内で自給する必要性が高まっているため。後に鈴木商店に合併されます。


【地方】 石川県の粟津軌道が馬車軌道から電化軌道となる。(粟津温泉と鉄道を結ぶ電車)

【第一次世界大戦】ロシアのエルズルム攻勢終了

 先日より続いていた、ロシアによるトルコの都市エルズルム攻略戦は、ロシア側の勝利となりました。235人の将校、12,753人の兵士が捕虜となり、エルズルムは、ロシアにより占領されています。
(エルズルムは、トルコ東部交通上の要地)

1916年(大正5年)2月17日

警視庁が藁(わら)屋根を禁止

明治45年の警視庁令によって、東京市内、および隣接する郡部では、防災上の観点から来年の5月までに瓦もしくはトタン屋根に改修するよう決められています。

現在のところ未改修の戸数は 9,726で、改修に応じない場合は相当の罰金があります。

なお茶室や神社仏閣に関しては、特例として改修をする必要はありません。

その他の出来事

【イギリス】 娯楽目的での自動車運転中止を呼びかける

【文化】 マルセル・デュシャン 『櫛』 発表。

訃報: 館山 漸之進 (邦楽研究家)

1845年弘前生まれ、享年70歳。

平曲(平家物語のメロディ)を父から学び、明治維新後廃止された当道(盲目の団体)によってすたれた、平曲の保全に努められました。

リンク: 平家琵琶(Youtube)

1916年(大正5年)2月18日

出来事

【外交】本野一郎ロシア大使が、日露同盟交渉をロシアに申し出

 先日(2月14日)の閣議決定を受け、本野一郎大使がロシアに同盟交渉を申し出しています。

【中国】武昌で軍隊の暴動

【アメリカ】ブライアン・チャモロ条約

 300万ドルで、アメリカがニカラグアの運河建設の独占権、およびその他の利権を獲得。

【第一次世界大戦】

イギリス汽船テニスン号が、ドイツのスパイにより沈没させられる

 リンク:フリッツ・ジュベール・デュケイン(Wikipedia)

【文化】川端康成が「京阪新報」を訪問し、自作品を新聞に掲載してもらえるようになる。

1916年(大正5年)2月19日

衆議院で台湾に関する六三問題継続案が可決

(*六三問題:台湾統治において、台湾総督が法律にあたる命令を出すことが出来るとした、「六三法」を継続するかどうかの問題。植民地として、台湾総督(陸軍出身)が法律を作ることが出来るか、日本国内と同様の法律を台湾に適用するか、議論が分かれていた)

浜田国松(国民党)の発言要旨


浜田国松

・六三制度は廃止するべきである。
・台湾と本土との関係は、他の植民地とは別であり、本国と同様の法律を施行するべきである。
・継続論は、利権獲得を期する一部野心家の主張ではないか。

と、約50分間にわたって論じています。


古屋慶隆(公友倶楽部)発言要旨


・台湾は植民地であり、本国とは違う事情が多い。
・本国の議会で台湾に対する立法をしても、台湾の事情に暗いため、適当な法律を作ることは難しいだろう。
・よって、同化政策を続けるとともに、現状では六三制度の継続が必要である。

松田源治(政友会)発言要旨


松田源治

・本案に期限があったのは、憲政の常道に反するからであり、期限が来たのであれば直ちに撤廃するべきである。
・台湾に、内地と違う事情があることは理解しているが、必要な命令は既に施行済であり、議会で立法をしても差し支えないのではないか。
・台湾人も、台湾総督より上に、天皇陛下があることを知っている。台湾人も、日本国内と同じ法律に服することを希望している。
・本案の継続は、台湾の同化政策を妨げるものである。


加瀬禧逸(中正会)発言要旨


「台湾において法律を要する事項は、台湾総督の命令をもって」という条項を、「法律を要する事項で、台湾に特別な事項は」に、修正する。

・賛否両論者の意見を折衷したものである。
・六三制度の継続は憲政の常道に反するものであるが、ただちに撤廃するにはまだ時期尚早である。

採決

加瀬氏の修正案は少数差で否決され、原案通り六三制度継続が採決されています。

夏目漱石が芥川龍之介に『鼻』を称賛する手紙を送る


夏目漱石

あなたのものは大変面白いと思ひます落ち着きがあって巫山戯(ふざけ)てゐなくつて自然其儘の可笑味がおつとり出てゐる所に上品な趣があります夫(そ)れから材料が非常に新しいのが眼につきます文章が要領を得て能(よ)く整つてゐます敬服しました、ああいうものわ是から二三十並べて御覧なさい文壇で類のない作家になれます
GARA DANIKKIさんのページより引用

訃報: エルンスト・マッハ (オーストリアの科学者)


Wikipediaより

1838年生まれ、享年78歳。

超音速気流を研究し、物体が音速を超えた場合、空気に衝撃波が生じることを実験的に示しました。
この業績により、音速を超える速度は「マッハ」と呼ばれています。

また科学史や心理学、生理学でも業績を残されました。


1916年(大正5年)2月19日


出来事

【中国】 久原房之助(久原鉱業社長)と孫文の間に、70万円の借款成立

【アメリカ】 ウィルソン大統領の一般教書演説を受け、スパイ活動法が上院を可決(*下院は未決)
 ドイツのアメリカ国内でのスパイ活動を防止するための法案です。

【第一次世界大戦】ドイツ領カメルーンが、イギリス・フランス軍により占領される

【訃報】 ポントゥス・アルノルドソン(スウェーデンのジャーナリスト)

 スウェーデンの平和と仲裁協会の設立者の一人で、1908年にノーベル平和賞を受賞されています。享年71歳。

1916年(大正5年)2月19日

ヴェルダンの戦い始まる


Wikipediaより加工

午前7時半頃、ドイツ軍が要塞化された都市ヴェルダンに対し、集中砲火を開始しました。

フランス軍は他の戦線に戦力を割いており、ヴェルダンの守備隊は約3万人。ドイツは手薄になったヴェルダンを集中攻撃の目標に定め、約15万人の戦力を投入しています。

約9時間の砲撃の後、午後4時からドイツ軍の前進が開始され、まずはヴェルダン北方5キロの森を占領しました。

その他の出来事

【海軍】秋山真之少将が海軍省軍務局長から、軍令部に異動。後任は、鈴木貫太郎海軍次官(少将)が兼任。

【訃報】波部本次郎 (実業家、殖産家)

 天保13年(1842)年生まれ、享年73歳。
 丹波国日置村(現兵庫県篠山市)の豪商の家に生まれ、地域の特産品丹波黒豆の改良を行なわれました。地元の篠山百三十七銀行の創立など、地元産業の発展にも貢献されています。

今週誕生日の人々

アルフレッド・ノース・ホワイトヘッド(55) ロンドン大学教授
森 鴎外 (54) 陸軍省医務局長、渋江抽斎連載中
アーネスト・シャクルトン (42) 南極探検中
志賀 直哉 (33) 作家
小畑 敏四郎 (31) ロシア駐在武官
井伏 鱒二 (18) 広島県立福山中学校学生

編集後記

大阪の茨木中学で、日本発の学校プールが作られています。

写真を見ると・・・池ですね。
現在のプールと比較すると、さすがにものすごく進歩したことを感じます。

川端康成、大宅壮一が在学中で、二人ともプール作りのために穴を掘ったり土を運んだりしてたんでしょうねぇ。


第一次世界大戦では、ヴェルダンの戦いが始まりました。単独の戦いとしては、第一次世界大戦で一番長く続いた戦いです。

西部戦線が膠着していたので、ドイツ軍、英仏軍ともに攻勢を計画していましたが、まずはドイツが先手をとって攻勢を開始しました。

来週以降も、ヴェルダンのニュースは続いていきます。


その他、わらぶき屋根の禁止、台湾の六三問題も、興味深いです。


非常に細かいですが、波部本次郎さんという方が、丹波黒豆を改良されたんですね~
友人が丹波篠山に転勤になった時に、黒豆をお土産にもらったことがあります。大振りで歯ごたえがあって、とてもおいしかった記憶がありますが、黒豆にも歴史ありですね。


今週は以上です。


索引語:アフリカ アメリカ 中国 事件 台湾 司法 地方 政治 文化 海軍 生活 産業 教育 社会 第一次世界大戦 訃報 議会 鉄道

Posted by 主筆 at 2016/02/22/13:38

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