百年前新聞

2018-04-23

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)4月4日~10日

大正5年4月5日

1916年(大正5年)4月4日

出来事

【海軍】
戦艦「丹後」「相模」を除籍。
元々は日露戦争で鹵獲された船でしたが、日露同盟交渉のため、ロシアに返還されることになっています。

【社会】
関東鳥獣保護規則が改正、兎が対象外となる

【第一次世界大戦】
メソポタミア戦線で、クートに籠城するイギリス軍への救援軍が到着。救援軍によるオスマン軍への攻撃が始まる。
(3日間の攻防後、オスマン軍に撃退される)

【インド】
インド総督がチャールズ・ハーディングからフレデリック・セシジャーに交替。

ハーディング氏は、自身もテロにあいながらも融和政策を行ない、ガンディーからも評価されていました。
第一次世界大戦による人材不足により、たまたまインドにいたセシジャー氏がインド総督に任命されたのでは、とされています。

セシジャー氏はインド人の政治参加に対しては消極的な態度のようです。


丹後

訃報: 元田 直(なおし) 法学者・教育家

天保6年(1835)生まれ、享年81歳。

豊後国の儒学者の家に生まれ、維新後にフランス民法を学ばれます。
1874年に東京で「法律学舎」を創設され、1880年には東京法学社(現在の法政大学)の創立にも関わられました。

東京代言人(弁護士のようなもの)組合の初代会長を務められ、東京府師範学校の校長として学校教育にも貢献されています。

衆議院議員 元田肇(政友会幹部)は娘婿です。

訃報: 井深 彦三郎 (政治家)


慶応2年(1866年)会津藩士の家に生まれる。享年50歳。

2歳で戊辰戦争があり、幼少期は貧困のうちに育ちました。
20歳の時に中国に渡り、28歳で日清戦争があり、語学を活かして陸軍の通訳となります。
日露戦争でも通訳を務め、戦後は清政府で顧問となり、満州の開発に従事しました。
(大陸での工作員としても活動されていたようです)

衆議院議員も1期務められています。
ハンセン氏病患者の救済で有名な、井深八重さんの父親でもあります。

1916年(大正5年)4月5日

畜産試験場官制が公布

畜産試験場官制が公布され、即日施行となりました。
また、これまでの種畜牧場及び種牛所官制は廃止となっています。

畜産試験場は農商務省に所属し、

・畜産に関する試験。調査
・種畜、種禽及び種卵の配布または貸付
・畜産に関する分析及び鑑定
・畜産に関する伝習

の業務を行ないます。

当面は農商務省内に置かれ、

・東京支場: 東京府豊多摩郡渋谷村
・北海道支場: 札幌郡豊平村
・北海道支場出張所: 空知郡滝下村
・中国支場: 広島県比婆郡山内東村
・九州支場: 大分県速見郡朝日村

に支場が置かれる予定です。

8月までに渋谷支場の借用期限が満了になるため、中央畜産試験場の敷地選定が急がれています。

その他の出来事

【社会】
来日中のアメリカ人飛行家 アート・スミスが、千葉県国府台(現:市川市)で試験飛行

【海軍】
駆逐艦「磯風」「天津風」が、呉海軍工廠で起工

1916年(大正5年)4月6日

広東省が独立を宣言


広東省(赤) 黄は既に独立した州

これまで曖昧な立場をとっていた広東将軍龍済光氏が、午後7時に公式に独立を宣言しました。
「袁世凱は欺瞞を事とし、到底安寧秩序を維持することが出来ない。よって広東省はここに独立し、雲南、貴州、広西省とともに、自ら秩序と安寧を保持せんとするものである」

関連記事: 3月15日広西省の独立

がん研究会で、山極勝三郎が人工がんの発生を報告


後年の山極氏

東京帝国大学医科病理学教室で、第7回癌研究会学術集談が開催されました。

18個の研究が報告され、そのうち山極(やまぎわ)勝三郎博士が市川助手と共に発表した研究が最優秀とされ、青山胤通(たねみち)会頭から賞金が贈られています。

関連記事: 1915年9月25日

長与又郎理事長の談

がんの延久については、多年、多数の学者が研究していながら、未だその疾患の本体、すなわち病原体を究めることが出来ていないが、大体、先天的に発病するものと、後天的に発病するものには区別されている。

後天的とは、主に慢性的刺激によって発病されると言われている。例えば口唇がんの場合は、右側にパイプを咥える者は右側に、左側に咥えるものは左側に発病するものがある。

さてこの病原体をどのように研究するかというと、もとよりその本体が分からぬ病気だから、研究がはなはだ困難である。

欧米の学者では、ハツカネズミにがんに類似した病気があるのを利用して、各種の研究を重ねており、デンマークの(ヨハネス)フィビゲル氏は一種の人工的がんの製法を発見している。

我が山極博士も刺激説を確信し、コールタールを扱う職工ががんにかかりやすいのは、コールタールの刺激から起こるものに違いなかろうと確信し、昨年来市川助手と共に研究をしていた。

まず兎の耳へ十数日間も木タールを塗布したが、これは何の反応もなかった。それでコールタールを塗布すると、果して著しい反応が出て、始めはいぼのようなものが出来、次いで角に似たもの、次には腺種、ついには立派ながんが出来るようになった。

また慈恵医院の今(裕)博士の研究や、京都帝国大学の清野博士の研究も有望である。

我が国のがん研究は歩一歩前進し、先進欧米諸国もまだ発見せぬ新研究を発表できたということで、大いに学会の誇りとするところである。

鉄道院が途中下車規程を改正

3月1日公布の途中下車規程が、5月15日から施行されることが公示されています。

途中下車規程によると、

・片道25マイル(40.23km)以上の場合に限り、途中下車をすることができる

・25マイル以上300マイル未満は2回、300~700マイルは3回、700~1200は4回、それ以上は5回、途中下車することができる

・この規程を超えて途中下車した場合は、乗車券を無効とする

熊本県会で蒙古に学生を派遣することが決定

熊本県議会で、蒙古に学生を5人派遣することが決まっており、東亜通商協会で派遣学生への訓示がありました。
県のためだけではなく、国の為に貢献するよう、求められています。

その他の出来事

【社会】
鉄道院の鷹取工場(神戸)が、神戸工場を合併する

【社会】
国民新聞の調査で、理想の別荘地 1位は白河、2位は保谷

1916年(大正5年)4月7日

訃報: 松尾 臣善(しげよし、元日銀総裁)


松尾臣善(Wikipediaより)

天保14年(1843年)、姫路の郷士の子として生まれる。享年73歳。

任官後の宇和島藩での直営事業管理を振り出しに、大阪府を経て大蔵省に入省し、出納局長、主計局長、理財局長等を歴任しました。

明治36年、日本銀行総裁に就任。日露戦争(明治37~38年)の戦費調達および正貨準備の確保を目的とする外債公募の実現に尽力されています。
日露講和条約成立後は、戦後の景気過熱の反動を憂慮し、金融調節手段の多様化を図りました。

*城山三郎の『男子の本懐』では、井上準之助とそりが合わなかった人物として紹介されています。

1916年(大正5年)4月8日

アート・スミスの曲芸飛行


尾崎行輝氏と

来日中のアメリカ人曲芸飛行家、アート・スミス氏の飛行大会が、東京の青山練兵場で行われました。

入場料は特等5円、一等1円、二等20銭で、押すな押すなの超満員です。(3万人以上。12万人という資料もあります)

この日は風速3メートル、快晴で、貴賓席には秩父宮、高松宮の両皇子と、伏見宮などの皇族が御成りになっています。
奥元帥、出羽対象、箕浦逓信大臣、島村軍令部長、仙波中将、長岡中将、加藤高明男爵も訪れ、陸軍や海軍の飛行将校も来ています。

午後1時50分から2時10分まで第一回目の飛行が行なわれ、横転3回、宙返り6回、その後急降下して飛行を終えました。
午後4時に第二回目の飛行が開始され、黄煙でSを描き、その後宙返り7回、コルク抜き(?)飛行、垂直下降を20分間披露しました。

(画像は、アートスミス・鳥人の足跡 さんからお借りしました)

その他の出来事

【政治】【財政】
フランス債券を償還するため、鉄道債券4,000万円発行の旨が公布される

【社会】
宗教研究会が機関誌『宗教研究』創刊(会長 姉崎正治:東京帝大教授)
仏教各団体、釈尊降誕祝賀連合花まつり会開催(日比谷公園)
東京師範学校で、剣術家の高野佐三郎が講師から教授に昇格

【国際】
ノルウェーで女性が国政選挙の選挙権を獲得

【第一次世界大戦】
フランス自動車管理局が「サンシャモン突撃戦車」を発注。陸軍が製作中の「シュナイダーCA1」との開発競争。


サン・シャモン突撃型戦車

1916年(大正5年)4月9日

【社会】
アート・スミスの曲芸飛行 2日目

【海軍】
戦艦「榛名」が青島方面の警備に出動

【第一次世界大戦】
ドイツ軍がマース川両岸で攻勢を発動(ヴェルダン戦)

【文化】
スペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャの「スペイン庭の夜」が初演

1916年(大正5年)4月10日

大蔵省に銀行局新設

大蔵省官制が改正され、大蔵省に銀行局が新設されました。
これまでの主計局、主税局、理財局に加え、4局体制となります。

その他の出来事


ロッドマン・ワナメーカー

【鉄道】
軌制調査会が設立。会長は大隈重信(首相)、副会長は添田寿一(鉄道院総裁)です。
(*背景に鉄道の広軌論争があります)

【社会】
友愛会横浜海員支部の浜田国太郎が、下級船員6,000人の委任状を集め、日本郵船・大阪商船などに賃上げの嘆願状を提出。
(2割余の賃上げに成功 - 海運が好景気だったこと、大戦中で諸物価が高騰していたことが背景にあります)

【台湾】
日本の台湾領有20周年を記念した、台湾勧業共進会が開会

【スポーツ】
ニューヨークで、初のプロ・ゴルフトーナメントが開催される。
スポンサーは、小売業の大富豪ロッドマン・ワナメーカー氏です。

この週に誕生日を迎えた人々

山本 達雄貴族院議員(政友会)60
エトムント・フッサール哲学者57
山極 勝三郎東京帝国大学医科教授53
エーリヒ・ルーデンドルフドイツ東部方面軍参謀長51
武藤 山治鐘紡経営者49
鈴木 梅太郎東京帝国大学農科教授42
浅川 権八東京高等工業学校教授39
長与 又郎東京帝国大学医科教授38
小川 未明児童文学者34
山本 五十六海軍大学校在籍中32
中里 介山大菩薩峠執筆中31
佐藤 春夫詩人24

索引語:インド スポーツ フランス 中国 中東 健康・医療 加藤高明 北欧諸国 台湾 大隈重信 政治 文化 海軍 産業 社会 第一次世界大戦 航空 訃報 農業 鉄道

Posted by 主筆 at 2016/04/11/14:29

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