百年前新聞

2018-04-22

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)4月18日~24日

大正5年4月19日

1916年(大正5年)4月18日

出来事

【中国】
護国軍政府が、袁世凱の大総統退位、黎元洪副総統の昇格を要求

【第一次世界大戦】
サセックス号沈没(3月24日)に対し、アメリカがドイツに抗議。
潜水艦攻撃を止めなければ、国交断絶に踏み切ると通告。

【外交】
日露間で、松花江航行問題が解決

【産業】
細川永一が島津製作所から独立し、細川鉄工所を創業。
(現在のホソカワミクロン)

【イギリス】
戦艦「ロイヤル・サブリン」が就役

【訃報】
日野 義順 (教育家、政治家、実業家)

天保10年(1839)日野宿(東京都日野市)生まれ、享年78歳。
幕末・維新時には、千人同心として数々の戦闘に参加し、上野戦争では彰義隊に呼応されています。
明治維新後は、教育や養蚕などの実業にたずさわり、日野町長もされています。

参考サイト: 日野 義順

訃報: コルマール・フォン・デア・ゴルツ (ドイツ軍人)


Wikipediaより

1843年プロイセン生まれ、享年72歳。

1878年から陸軍大学校の教官となり、1883年から12年間トルコに派遣され、オスマントルコ軍の近代化に貢献しました。
帰国後は師団長となり、1911年に元帥として退役します。

第一次世界大戦が勃発すると再度軍役に戻り、ベルギー占領の軍政監となり、再びトルコに派遣されスルタンの顧問となりました。

オスマントルコのメソポタミア戦線を指導中、バグダードで死去されています。(暗殺説あり)

1916年(大正5年)4月19日

中国情勢


袁世凱

袁世凱が参政院に対し、大総統退位の書面を提出した模様です。
退位の条件として、

・個人を弾劾しないこと
・個人および関係者の私有財産を保障すること
・政府と関係する人々の私財と生命を保障すること

をあげ、これらが承諾されれば、大総統の地位を副総統の黎元洪に譲るとしています。

黎元洪は、北京の兵を段祺瑞の指揮下に置くことを条件に、大総統の地位を承諾した模様です。

帝政派の参政院議員も次々と辞職し、身を隠す方法を模索しています。

現在の袁世凱の有力支持者は、奉天の段芝貴、安徽の倪嗣冲の二人で、段芝貴は袁世凱に意見をするため上京したと伝えられています。
段芝貴の留守は張作霖将軍が代理を務めますが、張将軍は満州軍閥の叩き上げの実力者であり、張将軍の向背にも注目が集まっています。

指定公示前に買占め(飛田遊廓新設)

飛田遊廓の許可により、周辺の地価が暴騰しています。

遊廓地指定の公表1日前の14日、見野文治郎府会議員は区域外の天王寺村の土地を200坪買い取っていましたが、これは指定の事実を知っていたのではと噂されています。また水野与兵衛氏も、14日に地主に働きかけていた模様です。

飛田遊廓の区域は、2万2千坪のうち1万3千坪は一個人の所有で、その他は住友家や虎屋銀行などで手放すことは無いと思われます。
区域外の土地の買収に、ブローカーがいそしんでいます。

1916年(大正5年)4月20日

飛田新遊廓問題

飛田遊廓の認許に関し、府会議員に情報が漏えいしていたと思われる件に関し、大阪府警が捜査に着手しました。

水野府会議員の選挙区では、有志が水野氏に辞職勧告を行なっています。

その他の出来事


ロジャー・ケースメント

【アイルランド・イギリス】
アイルランド独立主義者のロジャー・ケースメントが、ドイツからの帰国中に逮捕される。積荷の武器も、イギリス海軍に発見され、船は自沈。

【文化】
バルトーク・ベーラの『二つの肖像』が、ハンガリー国立交響楽団により初演。

1916年(大正5年)4月21日

婦人矯風会が遊廓認可取り消しを陳情

大阪婦人矯風会の林歌子会長など4名が、内務省の久保田次官及び湯浅警保局長を訪問し、飛田遊廓設置認許の取り消しを陳情しています。

林歌子女史の談

お留守中の一木内相代理として、湯浅警保局長に、一時間余りにわたって私達の主義を陳述しました。
その後、大隈首相宅にもお伺いして詳しく申し上げたところ、

「ああそうか、そりゃ油断だったナ。」

とおっしゃいまして、

飛田に近い天王寺は中学や高等商業が存在することを申し上げますと、

「ああそうそう、ウウンあれか。あの高等商業は立派な学校だナ。俺も以前行ったことがある。それは困ったことだ。
大方あれだろう、下役の者どもが知事に印を押させてしまったのだろう。大久保知事は俺の友人の息子で、実に温厚な君子だからナ。
よく取り調べよう」

とおっしゃってくださいました。

高田文相も訪問して土地柄のことなどもお話し申し上げますと、文相は普段から公娼廃止に御賛成の真面目な方ですから、

「そんなに学校の付近では、いっそう困ったことだ。それは何とかしなければ」

とのお言葉でした。

蒙古王が宣統帝の復位を要求

東蒙古テリムチン十旗の盟主南クルラス王が、北京を訪問し、袁世凱に対して(清の)宣統帝の復位を要求しています。
要求が受け入れられなければ、蒙古王侯で連合して帝国を樹立し、宣統帝を擁する旨を申し入れました。

その他の出来事

【経済】
4月8日に公布された、鉄道債券の公募開始
一般投資家は暴騰を続ける株式市場に投資をしているため、鉄道債券は不人気となっています。地方銀行、貯蓄銀行などは、鉄道債券に応募をする模様です。

【社会】
民間飛行家の伊藤音次郎氏が、栃木で巡回飛行を実施。
伊藤氏は飛行機を知らしめるため、7か月間かけて日本各地を巡業する予定です。
(関連記事:1月8日民間飛行家による初の東京上空飛行

【第一次世界大戦】
アフリカのベルギー領コンゴから、ベルギー軍がドイツ領東アフリカのルアンダ・ウルンディへ侵攻

1916年(大正5年)4月22日

中国で段祺瑞内閣が出現


段祺瑞(だんきずい)

中国で徐世昌氏に代わり、段祺瑞氏が首相となりました。

徐氏はわずか首相在任 1ヶ月での交替です。
段祺瑞氏は軍閥の実力者で、袁世凱の帝政には距離を置いていました。

婦人矯風会主催の遊廓反対演説会

飛田遊廓の新設に対し、婦人矯風会主催の反対演説会が開かれることが決まりました。

島田三郎(衆議院議長)、山室軍平(救世軍)、松浦有志太郎(京都大学医科教授)などの名士を招待し、24日に天王寺公会堂で開かれる予定です。

その他の出来事

【宗教】
大本教が、皇道大本と改称

【訃報】
イギリスの競走馬「ラフレッシュ」没。史上4頭目の三冠馬。
繁殖牝馬としては、サンデーサイレンス系の祖先になります。

1916年(大正5年)4月23日

中国情勢

現状、袁世凱の勢力下にあると思われるのは直隷、河南、陝西、山西、甘粛、新疆の6省です。
雲南、貴州、広西、広東、江西、浙江の南方6省は既に独立済みで、湖南省も独立宣言を待つのみの状況となっています。

ここで、江蘇、安徽、湖北、山東省は馮国璋を中心にまとまり、南方には袁世凱の退位を約束し、北方には袁氏の安全を保障し、調停を行なう動きが出てきています。

馮国璋氏と北方の交渉には、段祺瑞の腹心 徐樹錚氏が動いています。

ピアニストの小倉末子さん帰国

日本郵船の鎌倉丸で、ピアニストの小倉末子女史(24)が帰国しました。薄紫紺地の洋装で、溢れるばかりの愛嬌です。

小倉末子さんの談

いえ、ピアニストとしては、私などはまだ生徒でございますよ。

私は、4年前の3月に兄嫁のマリアと一緒にシベリアを経てベルリンに渡り、王立音楽学校に入学しました。

ベルリンには3年いて、卒業も近づいてきた時に、図らずも今回の大戦争が起こりましたので、私は兄嫁とともにベルリンを出て、ハーグに落ち着くことになりました。
開戦当時のことで深く私の印象に残っているのは、ロシア人が虐待されたことで、ベルリン市民はロシア人と見ればちょうど狂気のようになって、はなはだしいのは私の目の前でピストルで殺された人も実際に見ました。

ハーグからロンドンに移り、ニューヨークに1年、シカゴに半年あまり滞在して、今回帰った次第でございます。ニューヨークで3回、シカゴで2回、音楽会を開いて、その音楽会の際に同地の音楽学校の校長が聞いていたそうで、学校で教鞭をとることになりました。

ドイツとアメリカの音楽会は、まだ比較にならないほどドイツが進んでいるように思われます。教授に対する生徒の態度も、ドイツでは先生を神様のように尊敬しますが、アメリカでは金を払って習ってるんだという気風で、その国民性がはなはだしく異なっているように思われました。

シカゴでは三浦環様にお目にかかりましたが、あの方の人気は大したもので、またそのお声もなかなか見事だと思いました。

しばらく東京の音楽学校に勤めることになりましたが、近く華族会館の音楽会で演奏するつもりです。

その他の出来事

【インド】
ティラクを中心に、全インド自治連盟結成。(ジンナー、アニー・ベサント女史など)

1916年(大正5年)4月24日

イースター蜂起


パトリック・ピアース

アイランドで、イギリスからの独立を目指す武装蜂起が発生しました。過去最大規模の武装蜂起です。

アイルランド共和主義同盟(IRB)の軍事部門約1000人により、中央郵便局、市庁舎などが占拠され、リーダーのパトリック・ピアースにより「共和国樹立宣言」が読み上げられています。

イギリスのアイルランド駐留軍司令官は休暇でイングランドに滞在中で、ダブリン駐留のイギリス軍も同程度の兵力しかいないため、イギリス軍はゆっくりと鎮圧の準備を始めています。

参考記事:1915年8月1日 パトリック・ピアースの演説

その他の出来事

【航空】
来日中のアメリカ人飛行家アート・スミス氏が、阪神鳴尾でも曲芸飛行を披露。
ナイルス氏よりも技術が上と評判。

【社会主義】
キーンタール(スイス)で、反戦派の社会主義者による会議。

参加者40名程度で、ツィンマーヴァルト会議の「無併合、無賠償の講和」宣言を踏襲するも、レーニンら左派の「革命的祖国敗北主義」の主張の勢力が増す。(13名)
*社会主義革命を起こすために、祖国が第一次世界大戦に敗北することを希望する主義

参考記事:1915年9月8日 ツィンメルワルト宣言採択

【南極探検隊】
シャクルトン率いる南極探検隊(遭難中)が、ジェームス・ケアード号で救援を求めに旅立つ。7mの小舟で、1500kmの航海を目指す。

【アメリカ】
ヘレン・ケラーが、オペラ歌手エンリコ・カルーソーの唇に手を触れることで、歌を”聴く”
毎日オペラさんのページより)

この週に誕生日を迎えた人々

杉浦 重剛皇室の御進講役61
フィリップ・ペタンヴェルダン戦司令官60
マックス・ヴェーバーハイデルベルク大学名誉教授、軍務52
ハンス・フォン・ゼークトドイツセルビア方面軍参謀長50
石井 菊次郎外務大臣50
レオ・ヨギヘススパルタクス団指導者49
ウラジミール・レーニンスイス亡命中46
呉佩孚護国戦争で戦闘中42
アレクサンドル・ケレンスキーロシア社会革命党議員35
五島 慶太鉄道院職員34
大島 浩陸軍中尉30
アドルフ・ヒトラー第一次世界大戦従軍中27
セルゲイ・プロコフィエフペトログラード音楽院学生25
船田 中東京帝国大学学生21

索引語:アフリカ アメリカ イギリス インド 中国 地方 大隈重信 思想 産業 社会 第一次世界大戦 経済 航空 訃報 音楽

Posted by 主筆 at 2016/04/25/12:33

follow us in feedly
このエントリーをはてなブックマークに追加

前の記事へ 次の記事へ