百年前新聞

2018-01-22

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)5月23日~29日

大正5年5月24日

1916年(大正5年)5月23日

東京市 電車値上げ認可

市民の反対が多かった東京市の電車事業ですが、内務省および鉄道院からようやく認可がおりました。
奥田市長は、26日の市参事会に細則の草案を提出し、同意を求める予定です。

関連記事:3月15日

日置公使が中国政府と損害補償交渉を開始

中国の第三革命(護国戦争)により、在中国の日本人にも被害が出ています。

北京駐在の日置公使は、日本人1名死亡および日本国旗凌辱事件その他に関して、中国政府との損害補償交渉を開始しています。

千葉県で石油湧出

千葉県香取郡多古町の耕地整理組合排水路から、石油が湧出しました。

付近の水田が被害を受けましたが、このことを聞きつけた日本石油会社では技師を派遣して調査中です。

また町長も石油を携帯し、県庁に分析試験を申請しました。

その他の出来事

【陸軍】
和歌山連隊区が、和歌山市内から海草郡湊村大字湊に移転

【社会】
アート・スミスが富山で曲芸飛行

【社会】
前樺太庁長官 平岡定太郎(52)の公金流用疑惑に無罪判決。
(三島由紀夫の祖父)

1916年(大正5年)5月24日

札幌農科大学の独立運動:佐藤昌介 農科大学長談

札幌農科大学は東北帝国大学の一分科であるが、先代から東京に行く以上の遠距離であり、予らに委任執行をしている状態である。形式的に分科大学となっているもので、今日において独立させてもなんらの不都合もないだろう。

そして独立に関しては、なお1、2の分科を並置する必要がある。理工科または工科の予定だが、臨時費が約100万円必要だろう。国庫支出の関係からすれば、医科大学の方が設置が容易だろう。札幌区立病院を大学に附属させることができる。また北海道には医学士の普及が不十分なので、医科大学の方が良いと思われる。

北海道大学の独立は、札幌を中心として全道の希望であり、大学期成会も設置され、具体的運動に着手している。再来年は北海道開拓50年にあたり、札幌で記念勧業博覧会を開催する予定である。

この機会に大学の独立を完成させる希望だが、議会にも大体異論なく、文部省もほぼ賛成の意向なので、北海道の希望通り実現されるのではないか。

その他の出来事

【政治】
加藤高明(同志会)、原敬(政友会)、犬養毅(国民党)の3党首が、三浦悟楼の斡旋で会談。外交、国防方針に関して意見交換。

【産業】
日本火災が、日本初の盗難保険開始

【学問】
古市公威(きみたけ)に、フランス共和国レジオン・ドヌール勲章。
(フランスに留学経験があり、日仏協会設立。日本の土木工学のトップ。)

1916年(大正5年)5月25日

横綱太刀山が小結栃木山に敗れる:56連勝ストップ


太刀山

五月場所八日目、横綱太刀山が小結栃木山に敗れ、56連勝がストップしました。太刀山が敗れたのは9場所(うち、3場所休業)ぶりで、観客は総立ちになっています。

太刀山は腕っぷしが強く、これまでは腕の力で皆突き飛ばされていましたが、栃木山は四つ相撲が得意で、四つに組んで負かしたということです。

栃木山には1晩に1万2千円の御祝儀があったと言われています。(1円=約3000円計算)

その他の出来事

【地方】
群馬県に利根信用組合が設立される。(現在の利根郡信用金庫)

【スポーツ】
アルゼンチンのサッカークラブ「ボカ・ジュニアーズ」の新スタジアムがオープン。(1924年まで使用)

【訃報】 斎藤元宏(28)
陸軍軍人。袁世凱打倒の蒙古軍閥パブチャブの軍勢に投じ、参謀長として敵情視察に出かけた際に戦死。

1916年(大正5年)5月26日

出来事

【文学】
夏目漱石「明暗」が朝日新聞で連載開始

【地方】
北海道で無限責任帯広信用組合が設立される(現在の帯広信用金庫)

【陸軍】
陸軍士官学校28期卒業式。651名。(中国からの留学生4名含む)

【第一次世界大戦】
ドイツ・ブルガリア軍が、マケドニアのルーペ要塞を占領

1916年(大正5年)5月27日

張作霖 暗殺未遂事件

奉天将軍の張作霖が中村覚関東都督を奉天駅に出迎えた帰途に、何ものかに爆弾を投げつけられています。張作霖は無事です。

(*日本では、中国革命党の仕業という報道になっていますが、犯人は日本人です。満蒙独立運動に張作霖が協力しそうにないため、暗殺の計画が立てられました。犯行に及んだ三村豊予備少尉は、爆弾もろとも亡くなっています)

飛田遊廓反対学生保護者大会

飛田遊廓に対する学生保護者大会が午後7時半より、天王寺公会堂にて開かれました。雨中にも関わらず、1000名以上が参加しています。

同志社学長 原田助氏

・福沢諭吉翁が「徳教は耳より入らずして眼から入る」と言ったのは名言であり、青年に徳教を説くよりは、貞潔を損うものを見せないに限る。

・飛田は学生の通学路に近く、公園に接し、電車に沿い、青年を誘惑しやすいので、はなはだ不可である。

・大久保利武知事は、利通公の息子である。利通公は(大阪の)浜寺の松を惜しんで、村民が松を刈るのを止め、今日大阪市民の憩いの場となった。その息子が遊廓を大阪に記念に残すのか。

貴族院議員 江原素六氏

・国家百年の大計は、青年の善導により確立する。

・東京でも新富町の遊廓は、大久保利通の英断によって取り払われた。必ずや父のような取り消しを断行することを疑わない。

婦人矯風会大阪支部の活躍

飛田遊廓問題が発生してから、婦人矯風会の大阪支部の活動には目覚ましいものがあります。

支部長の林歌子女史は、飛田問題に関して演壇に立って堂々と反対の気焔を吐いていますが、個別に人を訪問し、寄付金募集などもお手のものです。

清水たね子女史は市会議員の夫人で、誰にもあたりさわりの良い奥様風ですが、事に当たっては的確な判断を下します。

中村のぶ子女史は何でも正面から戦う闘士で、張良と韓信を一緒にしたような才もあり、後方支援の手腕も優れています。

他にも名出りく子、馬場まつえ、奥田きく子女史など、多士済々です。

その他の出来事


ガリエニ将軍(Wikipediaより)

【国際】
アメリカのウィルソン大統領が、国際連盟創設を提唱

【文化】
東京音楽学校管弦楽団が、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」を初演。
(Youtube:ローマの謝肉祭

【文化】
帝国劇場でイタリア映画「カビリヤ」が上映。大入りの盛況。
(参考サイト:歴史の国の歴史映画

【訃報】
ジョセフ・ガリエニ (フランスの軍人)

1849年生まれ、享年67歳。
1914年に陸軍を退役しましたが、第一次世界大戦の勃発とともに現役復帰し、パリ防衛の指揮をとっています。
戦時中の陸軍大臣も務めましたが、病状の悪化により1916年3月に辞任していました。

1916年(大正5年)5月28日

工場法の施行が延期

6月1日から実施予定の工場法が、政府と枢密院の意見が一致せず、施行が延期になりました。

枢密院側の意見としては、決して大隈内閣に対する不信任ではなく、工場法の実施を重要視し、もう少し精査が必要ということです。

特に清浦圭吾、金子堅太郎の両氏は、司法省、農商務省の経験があり、当時からの懸案事項であるため、質問に対する農商務省の回答に不満足ということです。

その他の出来事


ソッピース・トライプレーン

【地方】
栃木県で岩舟人車鉄道が廃止。岩船山算出の石材を渡良瀬川まで運び、川便で東京に運ぶために作られた鉄道でしたが、石材輸送が両毛線によって行われることとなり、衰退していました。

【イギリス】
ソッピース・トライプレーンが初飛行。
パイロットの視界を改善した飛行機です。

【訃報】アルベール・ラヴィニャック(フランスの音楽家)

1846年生まれ、享年70歳。
パリ音楽学校で音楽理論を教えられています。
作曲家としても、ギャロップ行進曲などを作曲されました。

【訃報】イヴァン・フランコ―(ウクライナの作家、思想家)

1856年生まれ、享年59歳。
オーストリア・ハンガリー帝国支配下の西ウクライナで生まれ、ウクライナ文化の振興に力を注がれました。
ウクライナ語での詩や小説を書き、ウクライナ語の研究もされています。

研究の傍、ウクライナ人の権利を守る政治活動もされました。

ウクライナ紙幣にも印刷されており、ウクライナ文化の復興をされた人物です。


イヴァン・フランコ―(ウクライナ紙幣)

1916年(大正5年)5月29日

大礼記録編纂事業の開始

昨秋、京都で行われた御大典に関する記録編集委員が任命されました。
藤波言忠、江木翼、平沼騏一郎など16名が任命されています。

参考記事:御大典の様子

下条安磨内閣書記官(編纂委員幹事)談

今回の大礼記録は、建国以来初めて試みられる記念的大記録で、後世の範とすべきものである。予算は二年間で62,000円余り。数万の費用を要する面から見ても、かなり大仕掛けな記録編纂である。

委員の諸氏は、いずれも大礼で実行の任に当たった人々であるため、極めて完全なものができると思う。

インドの詩聖 タゴールが来日

インドの詩人タゴールが、土佐丸で神戸に到着しました。
神戸には河口慧海氏、多数日本在住のインド人がつめ寄せています。

関連記事:河口慧海の帰国

タゴール氏談

私は日本の人とも交際し、ラフカディオ・ハーンの書籍も読んで、日本の天然、人情等に大なる興味を感じていました。御承知のように、昨年出発の予定が、差支えが出来ましたので、今ようやく多年の希望を果たすことができ、非常に嬉しく思います。

予定についてはまだ何も決定していませんが、本年の秋頃まで滞在するつもりです。それから米国にも招待されていますから、日本からすぐ行くことになりましょう。

日本に滞在中は、詩を作ろうとは思っておりません。インスピレーションを受けることがありましたら、あるいは分かりませんが、詩というものはなかなか難しいものでしてね。

北海道鉄道 一千マイル祝賀会

札幌の中島遊園地にて、北海道鉄道一千マイル祝賀会が開かれました。

鉄道協会の会員、北海道各地の鉄道功労などが参会し、1千人あまりが傘下しています。

主な来賓は、床次竹次郎(政友会)、本山彦一(毎日新聞社社長)、野村龍太郎(前満鉄総裁)、馬越恭平(大日本麦酒社長)です。

立教大学の定礎式

池袋の敷地内で、立教大学の定礎式が行われました。

立教学院は明治7年の創立で、東京築地の一画にありましたが、校舎が手狭になってきたため、池袋に土地を買い、明治42年に工事を開始しました。

来年の7月に第一期工事が終了する予定で、今後、政治、経済、法律、文学、宗教を増設していきます。聖路加病院と連携して、医科大学をも作る予定です。

その他の出来事

【中国】湖南省が独立を宣言

【地方】東京府豊多摩郡臨川第二尋常小学校が、豊多摩郡渋谷町立長谷戸尋常小学校と改称

訃報:ジェームズ・ジェローム・ヒル(アメリカの実業家)


35歳頃(Wikipediaより)

1838年生まれ、享年77歳。

カナダに生まれ、アメリカに移住しビジネスの世界に入る。
1868年に石炭事業、1870年に蒸気船ビジネスを始め、M&Aを通じて事業を発展させていきました。
1877年に鉄道事業に参入し、グレート・ノーザン鉄道を設立。1899年に、公的資金を使わない、初の大陸横断鉄道を開業させています。

鉄道経営を軌道に乗せるため、ヨーロッパ人の沿線への移住を奨励。アメリカでは美術品コレクターとしても有名、第一次世界大戦にも寄付をしています。

この週に誕生日を迎えた人々

頭山 満玄洋社社長61
伊東 巳代治枢密顧問官59
榊 保三郎精神病理学者46
荒木 貞夫陸軍中佐ロシア観戦武官39
イサドラ・ダンカンダンサー38
ジョセフ・グル―ドイツ大使館勤務36
オズワルド・シュペングラー歴史学者36
山本 宣治三高学生27
内田 百閒夏目漱石門下生27

索引語:アメリカ インド スポーツ 中国 地方 学問 政治 教育 文化 満州 産業 社会 第一次世界大戦 航空

Posted by 主筆 at 2016/05/30/15:47

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