百年前新聞

2017-12-17

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)6月27日~7月3日

大正5年6月28日

1916年(大正5年)6月27日

パプチャップ軍の進撃

蒙古馬賊の頭目パプチャップの軍勢約3,000人が、旧清朝親王の遺児を擁して進撃しつつあります。

7月4日~5日頃、吉林省に到着する見込みで、中国の官憲は大いに警戒を強めています。

関連記事: 張作霖の宋社党警戒

その他の出来事

【第一次世界大戦】
ドイツで、カール・リープクネヒトの投獄に反対・戦争反対の政治スト

【スポーツ】
ボストン・レッドソックスのベーブ・ルースが、自身初の一試合10奪三振を記録
(この頃は投手としての活躍が中心。1916シーズンは、23勝12敗 防御率1.75)


ベーブ・ルース(1918) ウィキペディアより

訃報: ティルク・ファン・ポルスブルック

1833年アムステルダム生まれ、享年82歳。

オランダ貴族の家に生まれ、1853年にバタヴィア、1857年には長崎の出島で外交を担当。
1859年の横浜開港後は、横浜の副領事にもなりました。

1870年に北京への異動を拒否し、オランダに帰国。帰国後は通商協会の理事として、過ごされています。(1873年の岩倉使節団のオランダ訪問にも立ち会う)

日本滞在中、日本初の競馬である「横浜レーシング倶楽部」の設立にもたずさわりました。

1916年(大正5年)6月28日

日露協約と東清鉄道譲渡交渉が成立

日露協約と東清鉄道南部線の譲り渡しに関する交渉が終了したようです。

午前中に石井菊次郎外務大臣が大隈首相を訪問。午後首相、外相とともに参内し、天皇陛下に何事か伏奏しましたが、これは日露交渉成立についてのものだと思われます。

保健衛生調査会が発足

保健衛生調査会官制が公布され、即日実施となりました。
会長は内務次官、委員は関係各庁や学識経験者より選ばれます。
(関連記事:6月12日 内閣統計官のコメント

内務省の中川衛生局長によると、

・衛生上、不良と認められる町村を指定し、地方病、伝染病の調査を行う
・その地方の経済状態、生活状態をも調査する
・学術上の統計とも合わせて、帰納的に原因を追究し、対策案を作る

という方針です。

その他の出来事

【地方】
埼玉県初のバス路線が開業。川口~鳩ケ谷の 5.9km間
参考記事: バスの歴史(埼玉県ホームページ)

【中国】
袁世凱の葬儀(国葬)が行われる

【誕生】
簗瀬 次郎 (後に実業家)

1916年(大正5年)6月29日

日露協約を枢密院会議で諮詢

29日午前10時から、宮中東溜の間にて臨時枢密院会議が開かれました。

芳川副議長以下の顧問、政府から大隈首相、石井外相、大島陸相、加藤海相、尾崎法相などが出席し、高橋法制局長官、幣原外務次官も出席しています。

天皇陛下も臨御され、大隈首相、石井外相から協約交渉の動機、経過が説明されました。

異議なく可決され、正午には散会となっています。

*枢密院議長の山県有朋には、石井外相が小田原の古希庵を訪問して報告済。山県公も非常に満足の様子との報道があります。

日露協約の内容

・東洋の平和維持に立脚し、第三国が東洋の平和を攪乱する事態には、相互が協力し排除に努める
・日英同盟とも抵触しない
・中国の領土を保全し、機会均等主義のもとに、最善の協定をする
・欧州戦争中の兵器供給問題は、現状のままに留め、敢えて積極的な設備を増やさない

現在、ロシアと国際問題になっている、

・松花江以南の東清鉄道譲渡の件
・松花江の航行権問題

に関しては、細目の決定にまだ時間がかかり、別途報告されるようです。

*松花江:満州を流れるアムール川の支流。ハルビンや長春北部を流れる

私娼取締りの討論会

丸の内の日本倶楽部で、私娼問題の討論会が開かれました。

出席者は東京府、東京市の名誉職員、高木兼寛男爵、警視庁の丸山保安部長、松岡均平東京帝大教授、三輪田女学校長、本願寺の林嶺信氏などです。

東京市の藤原参事は、パリで週二回の(病気)検査をしながら黙認されている例、アメリカで税金を徴取している例などを報告しました。

斎藤府会議長は、「私娼はぼうふらのごとく、水を動かせば沈むが、また現れてくる。根本問題は水を清潔にすることで、宗教、道徳、家庭、教育などを清めなければならない」と発言しています。

警視庁の丸山保安部長は、

・私娼撲滅はあくまで断行する
・そのはけ口のため、公娼は寛大にする

という方針を語っています。

関連記事:6月14日など

東京帝大 文科卒業生発表

東京帝大の文科の卒業生が発表されました。
優等生は8名で、英文学の芥川龍之介、独文学の藤森成吉などがいます。

1916年(大正5年)6月30日

日露協約に関する犬養毅、岡崎邦輔の談

犬養毅(国民党党首)氏談 (要旨)


日露新協約に関しては新聞紙の報道がまちまちで、未だ的確な内容は分からないが、大体において最も自然の成行きであり、日露両国の利害関係上、こうならなければならないものである。

ロシアが大連、旅順方面まで進出するのは到底不可能なことであり、また日本としても興安嶺付近に兵を備えることは無用である、
要するに満蒙で日露両国が互いに軍事競争をすることは無意味で、双方の不利益である。

今回、日露両国が勢力範囲を協定し、中国領土保全の根本方針を掲げることは望ましいことだ。満蒙の特殊権益ぐらいは、日露両国で互いに防護することも当然である。

東清鉄道の一部割譲は、欲を言えばハルビン以南の全部を申し受けたいが、松花江の航行権および西シベリアおよび満州での商業、工業、農業をする権利を得たことは、慶賀すべきことである。

ただ漁業権が含まれていないのは、どういう理由か。現在の我国にとって最も重要なのは漁業権問題であって、その他は将来の発達に関することである。

また日露協約は、日英同盟と定食するものではないと信ずる。

中国人も、これまでしばしばロシアの侵略に脅かされてきたことだから、今回の協約について色眼鏡をもって見る人もあるかもしれないが、日本は中国に対し全く侵略的な意図はないのだから、この点は誤解がないことを切望する。

岡崎邦輔(政友会幹部)談

日露協約の内容についてはまだ公表されていないため詳細は分からないが、報道されているように日英同盟に抵触せず、両国の商工業および農耕、居住に利便があり、同時に東洋永遠の平和を確保することができれば、効果があるものだろう。

今回、ロシアから割譲される東清鉄道の一部は、農産地として定評がある。運輸系統を整備していく必要がある。

日露両国が敵意を一掃し、誠心誠意提携して、東洋永遠の平和のために尽くすという意思を決定したことは、両国の経済的利益は相互に増進することだろう。

北京で段祺瑞を総理とする臨時内閣が成立


段祺瑞(だんきずい)

段祺瑞を総理とする臨時内閣が成立しました。

国務総理: 段祺瑞 (北方派)
外交総長: 唐紹儀 (南方派)
財政総長: 陳錦濤 (南方派)
陸軍総長: 段祺瑞 (兼務)
交通総長: (前清の官僚系)
海軍総長: (前清の官僚系)
教育総長: (南方派)
(後略)

南方派に配慮した人事になっていますが、南方派はまだ北京に到着しておらず、実際に就任するかどうかは不明です。

また馮国璋、張勲らの中立派将軍がどのぐらい協力的かも、現時点では不明です。

1916年(大正5年)6月の出来事

【教育】
三重県の神埼村洗心保育園などで、農繁期託児所が開園する

【社会】
友愛会の婦人部が設置。日本初の労働組合婦人部。

【アメリカ・文化】
人気小説「ターザン」の映画化が決まる

1916年(大正5年)7月1日

岡崎市が市に昇格

愛知県で岡崎市が市に昇格しました。(広島県福山市もこの日昇格)

隣の豊橋市は兵営があるが、岡崎は自己の努力で市に昇格したと、市民は自負しています。

午前4時に祝砲が21発、5時から公園籠城神社にて市制実施の奉告会が居hら彼、市長や旧藩主の本多家などが出席しました。

午後1時から市民は一斉に市旗を出し、提灯を出し、午後5時から祝賀園遊会が開かれています。

ソンム攻勢始まる


Diary of Greatwar より

ソンム(パリより北東約100km)で、連合軍の攻勢が始まりました。

6月24日からの準備砲撃でドイツ側の陣地を十分に破壊したと信じたイギリス軍は、隊列を組んで前進しましたが、実際には陣地の破壊は十分でなく、ドイツ軍の機関銃に狙い撃ちされる結果となりました。

この攻撃初日で、イギリス軍の死者は約2万人で、イギリス陸軍史上、1日の死者数は最大となっています。

ドイツ軍の兵士は歴戦の勇者が多く、イギリス側は新たに募集した志願兵が中心だったことにもよります。

(*シャンティ―の会談で、もともと英仏が連合して大攻勢にあたる予定でしたが、フランス軍がヴェルダン戦に主力を割かれ、イギリス軍が主力になっています)

その他の出来事

【社会】
・逓信省で前島密(81)の銅像除幕式
参考HP:郵政博物館

・米ユニヴァーサル社の日本支社が業務開始(外国映画社の日本支社開設の初め)
・ガスメーターの検定制度はじまる

【地方】
徳島~鳴門間で、阿波電気軌道が開業(現在の高徳線の一部)
電気軌道という名前だが、蒸気での開業。徳島市への乗り入れも、吉野川に架橋できず連絡船による接続

【第一次世界大戦】
日本赤十字のフランス派遣救護班が、1年半の勤務を終え、野戦病院を閉院する
参考サイト: 日本赤十字社HP

【アメリカ】
ミシガン、モンタナ、ネブラスカ、サウス・ダコタ州でアルコール飲料が禁止される。
(禁酒の州は24)

ドワイド・アイゼンハワー(25)が結婚

1916年(大正5年)7月2日

出来事

【地方】
秋田県で初の女医による開業(山田縫さん)
参考HP:秋田市の先人たち

【学問・文化】
帝国学士院の恩賜賞が発表。
大矢透「仮名に関する研究」
林泰輔「周公とその時代」
稲田龍吉・井戸泰「黄疸出血性スピロヘーテ病に関する研究」

来日中のインド詩聖タゴールが、日本女子大学で講演
参考サイト:写真で見る日本女子大学の110年

1916年(大正5年)7月3日

日露協約の調印終わる

ロシアの首都ペトログラードにて、日露協約の調印が行われました。

数日後に内容が公表される予定ですが、東清鉄道の一部譲渡、松花江の航行権に関してはまだ細目が決定していないため、既報のように条文は極めて簡単なもののようです。

日露協約に対する中国の反応

中国政府は、本日結ばれた日露協約に対し、内容の研究に努めています。

満州北部に関しては、日露両国に対して居住、営業、耕作の自由権を与えていないため、中国に不利益な点があれば、日露両国に抗議をする構えです。

なお、中国在住のイギリス・フランス人は協約を歓迎しており、アメリカ人は協約に注意を払っています。

ソンム攻勢の報道

*戦時公報の要旨です。実際は、1日の欄に書いてるよう、イギリス軍の被害は甚大でした。

以前から予告されたイギリス軍の攻勢が、1日午前7時30分より決行された。

砲兵隊におる砲撃が1時間半ほど続いた後、歩兵隊はさながら練兵のように悠々前進し、フランス軍はイギリス軍の右翼を支持した。

こうしてドイツ軍を16マイルにわたって突破し、ドイツ軍はソンム運河北方の塹壕に退却した。激戦2時間のうち、イギリス軍は無数のドイツ兵を捕虜とした。

なおイギリス軍の後方には3千マイルの鉄道が敷設され、武器、弾薬の補充、負傷兵の後方輸送が活発に行われている。

その他の出来事

【宗教】
牧師の岩村清四朗が結婚

【訃報】
ヘティ・グリーン(81) アメリカの資産家

南北戦争の国債、大陸横断鉄道への投資などで、莫大な財産を築きました。
世界で最も資産を持つ女性で、「ウォール街の魔女」という異名を持っています。

莫大な資産を持つ一方で、極度のケチとして知られ、世界一のケチとしてギネスに認定されています。
安アパートに住み、服もボロボロで、光熱費を惜しんで冷たいオートミールを食していました。

この週に誕生日を迎えた人々

伊沢 修二貴族院議員65
レオシュ・ヤナーチェクチェコ音楽家62
エマ・ゴールドマン産児制限運動により投獄47
ヘルマン・ヘッセドイツ作家39
ヘレン・ケラー人道活動中36
末次 信正イギリス観戦武官から帰国36
滝田 樗陰中央公論編集長34
フランツ・カフカプラハで保険協会に勤務、執筆も行なう33
今村 均陸軍中尉30
ロベール・シューマンメッツ市市会議員30

索引語:アメリカ イギリス ドイツ ロシア 中国 地方 学問 山県有朋 政治 満州 犬養毅 社会 第一次世界大戦 訃報 鉄道

Posted by 主筆 at 2016/07/04/14:02

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