百年前新聞

2017-06-27

百年前新聞とは?

1916年(大正5年)8月22日~28日の出来事

大正5年8月23日

1916年(大正5年)8月22日

満州状勢

郭家店での中国軍と蒙古軍の衝突に関し、満鉄の附属地の安全のため、日本軍守備隊が休戦要求の使者を派遣しました。

中国軍は、不用意にも日本兵が掲げた日本国旗にも発砲し、日本兵の乗馬を傷つけたのみならず、いったん休戦した隙に乗じて蒙古軍に猛烈な射撃を加えたため、蒙古軍は百名以上の死傷者を出して撤退しました。

日本軍としては、この中国軍の行為に対して厳重な抗議を行なう予定です。

関連記事:8月16日 郭家店を蒙古軍が占領

中国公使より本国への電報


章宗祥

東京駐在の中国公使章宗祥(しょうそうしょう)は、本国政府に対して次のような電報を送りました。

・鄭家屯事件に関しては、日本の世論は激烈なものがある
・ただ日本政府は、平和的解決を求めているようである
・よって、中国側でも新聞紙上で、日本の民意を刺激するような文章が出ることが無いよう注意すべきである

1916年(大正5年)8月23日

山県有朋が小田原古希庵に戻る


山県有朋

上京していた山県有朋公爵が、午後1時10分の記者で小田原の古希庵に戻りました。

当日は雨が降っていたにも関わらず、大隈常信氏(大隈重信の養子)、芳川枢密院副議長、東京府知事などが見送りに来ています。

山県公は、霜降りの背広に縞のズボン、葉巻とステッキを持ち、高橋駅長の最敬礼を受けながら、しばし休憩。

駅長の案内で列車に乗り込み、発車の際は見送りの人の頭が一斉に40度下がりました。

その他の出来事

【社会】
渋沢栄一が、福島県白河町の神社建設地を視察。
現在の南湖神社(松平定信を祀る神社)
参考サイト:情報資源センター

【フランス】
パリのメトロ12号線が、ジュール・ジョフラン駅からポルト・ド・ラ・シャペル駅まで延伸。

【スイス】
国鉄ブリューニック線が延伸、全線開通

1916年(大正5年)8月24日

出来事

【外交】
中国における工業所有権相互保護に関して、日本とスウェーデン間で条約調印

【文化】
夏目漱石が、芥川龍之介、久米正雄宛てに再度手紙を送る
参考サイト:夏目漱石の手紙
*文中の瀧田樗陰は、中央公論編集長。ショウはジョージ・バーナード・ショー

【ドイツ】
カール・リープクネヒトが、5月の反戦デモにより懲役四年の刑に処される

【第一次世界大戦】
ソンムの戦いで、フランス軍がモールバーを占領

1916年(大正5年)8月25日

ドイツの名パイロット インメルマン戦死に関する報道

ドイツ新聞紙で、6月に戦死したインメルマンに関する報道がありました。

インメルマン中尉は、撃墜記録50台の記録があり、鉄十字勲章ももらった将校です。

目撃者談

ちょうど晩の9時、空中で飛行射撃の音がするので、陣地の外に出てみた。

すると、空中で2台のフォッカー(ドイツ機)と英仏の複葉機が戦っていた。フォッカー機が1台の複葉機を狙って、複葉機の動きが乱れてきた。

「万歳、撃たれた」と、見物が叫んだところ、フォッカー機も妙な動きをしている。機は傾いたと思うと、まっすぐになる。まっすぐになったと思うと、今度は回転した。

すると、不快な音を立てて尾翼が離れ落ちた。するとみるみる機は約200Mの高度から墜落し、地響きを立てた。

我々はすぐに駆け付けたが、操縦者は機体の下敷きになっている。皆で機体を取り除いて、操縦者を見たが、誰だか分からなかった。

軍服の上着を開くと、勲章が出てきた。この勲章を持っているのは、インメルマンかベルゲだ。

よく調べていると、シャツにインメルマンの文字 M.E が縫ってあることが発見された。

カール・リープクネヒトの懲役報道


リープクネヒト

ドイツの報道によると、ドイツ軍法会議高等法院はドイツ社会党の首領カール・リープクネヒトの控訴を却下し、逆に懲役を4年に延長しました。
(6月の軍法会議では、懲役30カ月だった)

リープクネヒト氏は最近、体が衰弱しており、懲役期間終了まで生存しているとは思えず、事実上の死刑ではないかと言われています。

ドイツの社会主義者の間では、その憤慨が局地に達し、23日に一大示威運動が行われた模様です。

「リープクネヒトの処刑は、ドイツを革命に導く近道である」という演説により、社会主義者がまた逮捕された模様です。

その他の出来事

【アメリカ】
国立公園局組織法が議会を通過。
国立公園はこれまでにも存在していましたが、密猟や自然破壊もあったため、国として保護をすることになっています。
参考サイト:アメリカの国立公園史

【アメリカ・スポーツ】
メジャーリーグで、名投手クリスティ・マシューソンが引退。
通算373勝で歴代3位、初めて野球殿堂入りした選手の一人。1903年から1914年まで、12年連続で20勝を達成、実戦ではじめてスクリューボールを導入した選手。

【ドイツ】
8月1日にアメリカを出港したドイチュラントが、ドイツに帰国。大戦中の貴重な資源を得る。

【科学】
ロシアのグレゴリー・ネウイミンが小惑星ペトロポリターナを発見。命名は、ロシアの首都ペトログラードより。

1916年(大正5年)8月26日

出来事


ナップ・ラジョイ

【社会】
西尾末広(25)らが職工組合期成同志会を大阪で結成

【第一次世界大戦】
イタリアがドイツに宣戦布告

【中国】
中日実業株式会社と中国交通部、借款100万円成立

【アメリカ】
サンフランシスコの海峡に橋をかけるよう、新聞紙上でキャンペンが始まる
(現在のゴールデンゲートブリッジ)
参考記事;土木遺産の香り66回 ゴールデンゲート橋

メジャーリーグで、ナップ・ラジョイ(41)が現役引退
20世紀初の三冠王、球聖タイ・カップと首位打者を争った名選手

1916年(大正5年)8月27日

出来事

【第一次世界大戦】
ルーマニアが、オーストリア=ハンガリー帝国に対して宣戦布告
(関連記事:8月18日

【文化】
島田清次郎(17)「加賀平野に芽ぐむもの」が万朝報の懸賞小説に当選

【科学】
ロシアのグレゴリー・ネウイミンが小惑星「ツァイア」を発見

1916年(大正5年)8月28日

出来事


熊谷一弥

【第一次世界大戦】
ドイツがルーマニアに宣戦布告

【スポーツ】
熊谷一弥と三神八四郎が、テニスの全米選手権に出場。日本人テニス選手初の四大大会出場
熊谷一弥関連記事:1月9日

【台湾】
台湾中部で地震。M6.8、死者16人。家屋倒壊614。

この週に誕生日を迎えた人々

浅野 長勲最後の大名74
河野 広中農商務大臣67
クロード・ドビュッシー作曲家54
内藤 湖南京都帝国大学教授(東洋史)50
幸田 露伴小説家49
横田 千之助政治家(政友会)46
出口 王仁三郎大本教教祖45
鈴木 久五郎相場師、没落中39
岩波 茂雄神田で岩波書店経営中35
出光 佐三門司で石油店経営中31
若山 牧水歌人31
カール・ベーム音楽勉強中22
渋沢 敬三仙台旧制二高在学中20
宮沢 賢治盛岡高等農林学校在学中20
坂井 三郎佐賀県で農家の次男として誕生(後年撃墜王)0
マーサー・レイアメリカモンタナ州で生まれる(後年女優)0

編集後記

満州での日中の衝突は、ひと段落となったようです。

第一次世界大戦では、ルーマニアが連合国側に立って参戦。ブルシーロフ攻勢によるロシア軍の戦果を見ての参戦です。

ルーマニアはあっという間にドイツ軍によって占領されてしまうことになるのですが、ルーマニアの参戦を見越していなかったドイツ参謀総長ファルケンハインの威信が失墜。

2月から始まった、ヴェルダンの攻勢も戦局が思わしくなく、参謀総長を更迭されることになります。

代わって参謀総長になるのがヒンデンブルクで、後のドイツ史にその点で影響を与えた出来事です。


日本のテニス界で、初のメダルを獲得する熊谷一弥選手が、テニスの四大大会に初出場しています。
錦織圭選手が、今回リオオリンピックで96年ぶりにテニスのメダルをもたらしましたが、熊谷一弥選手は、その前のメダルを獲得した方です。


山県有朋の権力者ぶりも、なかなか興味深いですね。
山県有朋も、良きにつけ悪きにつけ、日本の近代史の超重要人物なので、もう少しこの人について日本史で取り上げても良いし、一般的な知名度もあって良いものだと思います。


では、今週は以上です。


索引語:アメリカ オーストリア スポーツ ドイツ フランス 中国 台湾 山県有朋 文化 満州 科学技術 社会 第一次世界大戦 航空 鉄道

Posted by 主筆 at 2016/08/29/13:25

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