百年前新聞

2018-01-23

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大隈内閣留任詳細、漂流邦人帰国ほか

大正4年8月10日

1915年(大正4年)8月9日の出来事一覧

【政治】大隈内閣留任の詳細
【社会】漂流邦人6名帰国
【第一次世界大戦】ダーダネルス海峡戦(ガリポリの戦い)進捗
【訃報】イェジイ・ジュワフスキ (ポーランドの文学者)

<国内>

大隈内閣留任続報

内閣留任の手続き

大隈首相、山縣公訪問
午前8時15分、大隈首相は早稲田の自邸を出て、目白椿山荘へ山縣公を訪問。
内閣改造の経過を報告しました。

最終閣議が開かれる
改造前の最終閣議が開かれ、加藤外相、若槻蔵相、八代海相の辞職と、今後の引き継ぎに関して打ち合わせを行いました。

元老会議が開かれる
山縣公、大山公、松方侯が参内し、鷹司侍従長も参加の上、元老会議が開かれました。
山縣公より、留任の経過、大隈首相の意志に関して報告。
元老会議後、山縣公より天皇陛下へ伏奏を行ないました。
陛下は「暑中老体苦労に存す」と、ご機嫌が麗しかったとのことです。

大隈首相参内
宮中で元老と会見、その後天皇陛下に拝謁し、留任の経過を報告しました。

大隈首相の弁明

「総辞職は御聴き届けならず。自己の不行届きにもかかわらず、甚だしきお咎めもなきのみならず、一層努力せよとの御諚あり。」

内閣改造人事の裏事情

6日に大隈首相が山縣公を訪問した際に、3大臣が辞職した場合の後任者に関して、山縣公の意を探っていました。
山縣公は、渦中に投じることを避けるため、自己の影響下にある人物の推薦はしない意向であることを確認。
よって大隈首相は早急に人選を行なうため、自らの勢力圏内の人物から閣員を選ぶことにしました。
外相は当面自らが兼任することとし、海相は加藤中将を説得。箕浦氏は直ちに承諾。
文部大臣を予定した高田早苗氏(早稲田大学学長)は、当初難色を示したため、一木喜徳郎を通じて貴族院議員に声をかけましたが、意中の人物は山縣公の意志を推し量り謝絶されました。
よって、再度高田氏を口説き、文相は高田氏に決定しました。

外務大臣は、珍田捨己氏が第一候補、石井菊次郎氏が第二候補、林権助氏が第三候補と噂されています。

参政官の進退

内閣の改造に伴い、安達外務政務官、下岡内務政務官、濱口大蔵政務官、仙石鉄道員総裁も、ともに辞表を提出しました。

メディアの報道

新内閣は、「大隈伯の家の子郎党内閣」である。非立憲的、大隈首相は政界廓清(清めること)を主張していたのに行動が一貫していない、このような軽量人事でどうするのか、と新聞紙は一斉に批判しています。

漂流邦人6名帰国

9日朝、横浜入港の市俄古丸で、密航を企て漂流をしていた日本人6名が帰国しました。

送還されたのは、愛媛県西宇和郡三瓶村宮本島太郎(43)、松本由吉(20)、松本牧太郎(19)、石岡正一(26)、田中高太郎(19)、山田只治郎(35)の一行。

一行は昨年、船長菊地坂太郎、菊地文太郎とともに8名で、アメリカのシアトルに向けて密航を企てました。
親兄弟と水盃を交わして、暗夜に乗じ、伊勢鳥羽の沿岸より昨年7月3日出帆。
船は大福丸という「吹けば飛ぶような帆船」で、20日間は無事に航海を続けましたが、突然天候が一変。暴風、暴雨、荒波により、食糧が海に落ちてしまいました。
その後大福丸は北へ北へと流され、食料もなく、寒さに震え、8名は皆ただただ寝込んでいたところ、出帆以来43日目にして、島が見え、急いで島に向かいました。
島の沖合2マイルの地点で船が暗礁に乗り上げ、菊地坂太郎氏、文太郎氏は船とともに命を落とし、残る6人は海岸に打ち上げられ、一命をとりとめました。

その島にはエスキモーが300人ほど住んでおり、心から厚遇してくれたといいます。
この島に8カ月ほど滞在していたところ、今年4月15日、イギリスのノーム号がやはり難破して、島にたどり着きました。
ノーム号の船長に船に乗せてもらうよう依頼し、同船がアラスカに寄った際に官憲に引き渡され、今回帰国することが出来ました。

一行は横浜水上署で取り調べられています。

<海外>

欧州戦争の戦局

ダーダネルス海峡戦(ガリポリの戦い)進捗


8月9日の戦線(あくまでご参考)

8月6日にイギリス軍の増援部隊が上陸し、乱戦が続いていたアンザック入江~スブラ湾の戦線において、ムスタファ・ケマル率いるオスマン帝国予備部隊が到着。
ムスタファ・ケマルの巧みな指揮により、オスマン軍が山頂を奪還しました。

<このとき>

台湾総督府図書館開業

台湾唯一の官営図書館である台湾総督府図書館が開業しました。

訃報:イェジイ・ジュワフスキ


Wikipediaより

ポーランドの文学者、哲学者。
1901年から1911年にかけて書かれたSF叙事詩「月三部作」で知られています。(日本では未刊行)
第一次世界大戦の勃発とともに、ポーランド独立のためにオーストリアのポーランド軍団に志願。前線でチフスにかかり死亡しました。享年41歳。

月三部作の「銀球で」のあらすじ(Wikipediaよりまとめ)
21世紀、多国籍の探検隊が、砲弾宇宙船によって月にたどり着きます。
到着時に宇宙船が壊れてしまい、地球へ帰還する望みが絶たれます。
また、到着時に乗組員数名が死亡、残った乗組員3名は、月面で何とか生存可能な地域に移り、そこで生活をはじめます。
そして子供も生まれますが、それは「奇形月人」でした。
月人は近親相姦で世代を重ね、地球帰還という悲願を実現してくれる「救済者」を待ちます。

誕生日

黒田清輝(49)、宇垣一成(47)


索引語:イギリス トルコ 事件 台湾 政治 文化 第一次世界大戦 訃報 ポーランド

Posted by 主筆 at 2015/08/10/10:56

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