百年前新聞

2018-02-21

百年前新聞とは?

ギリシャ内閣総辞職、レオ・フランク事件ほか

大正4年8月18日

1915年(大正4年)8月17日の出来事一覧

【地方】富山市 市長選で揉める
【文化】芸術倶楽部の落成
【国際】ギリシャ内閣総辞職、ヴェニゼロス氏組閣へ
【アメリカ】アトランタでリンチ事件(レオ・フランク事件)
【訃報】佐竹作太郎(実業家)

<国内>

富山市 稲垣市長の当選無効

政友会派と同志会派で争いの続いていた富山市の市長問題に関し、内務省が同志会派稲垣氏の当選を無効と判断しました。

先日の富山市議会で、政友会派の井上政寛市長は議事の半ばにして散会を宣言。
散会したにも関わらず、同志会派は議事を続け、自派の稲垣宗正氏を市長に当選させました。
議事の途中で突然散会をすることは異例のことであり、同志会派は議事継続の正当性を訴え、政友会派は散会後の当選の無効を訴えていましたが、内務省は同志会派の意見も認めつつも、市長の選定は無効としました。
後日あらためて富山市長の選挙が行われる予定です。

芸術倶楽部の落成

東京市牛込区横寺町に建設中の島村抱月氏主幹の芸術倶楽部が竣成しました。9月20日頃、松井須磨子等の芸術座員が帰京の上、開場式を行う予定です。

同建物は大正博覧会の教育活動写真館を払い下げたものでしたが、今年の2月に暴風の為倒壊。新たに建設費費一万円余で、二階建て百七十余坪の建物が完成しました。
舞台は間口七間(12.7m)、奥行き四間(7.3m)、見物席は椅子で、定員二百五十人です。
芸術座の研究劇に使用されるのみならず、いろいろな演芸会にも貸与する方針です。

大米龍雲 逮捕の経緯

尼僧殺害事件の犯人である大米竜雲の逮捕の経緯を、警視庁が発表しました。

警視庁では、東京府下杉並村の強盗事件、神奈川県橘樹郡御幸村事件、鶴見天王院事件等、手口が同じであるため同一犯と断定。
盗まれた物品を探索すると、芝区露月町の古物商にありました。どこから買い取ったかを店主に確認すると、芝愛宕町二の住所が判明、売主の人相は杉並村の強盗と似通っていました。
また、同区源助町の古物商にも盗まれた袈裟があり、これも芝愛宕町二の住所となっていました。
愛宕町の住所に行ったところ、彼等夫婦は浅草田原町に引っ越したとのこと。浅草田原町に行くと、夫婦は引っ越ししてきてないとのことでした。
どこかへ逃亡したのではと推測し、市内の各駅を調査したところ、6日午後10時40分の新橋駅発博多行きの列車に、おびただしい荷物を持った男が博多までの切符を買って乗ったということが判明。
警視庁は博多署へ電報を打って、間一髪のところ取り押さえることが出来ました。

<海外>

ギリシャ内閣総辞職、ヴェニゼロス氏組閣へ

欧州戦争に対して中立を続けているギリシャで、中立維持派のグーナリス内閣が総辞職し、連合国側での参戦を主張するヴェニゼロス氏が組閣することになりました。

ヴェニゼロス氏は前総理大臣であり、中立を主張する国王と対立して首相を辞任していましたが、国民の支持によって再び首相となりました。
国王との対立を解消し、ギリシャが連合国側に立って参戦するかどうか、注目が集まっています。

袁世凱皇帝説続報

中華民国大総統袁世凱は、先日来続いている帝政運動に対してコメントを発表しました。

「国体を討論することは、決して共和の原理に反しないため、敢えて干渉する必要は認めない。余の素志はしばしば表明しているとおり、帝王となることを欲せず、また総統の地位に恋々としているものではない。」

アトランタでリンチ事件(レオ・フランク事件)

アメリカ合衆国ジョージア州で、ユダヤ人レオ・フランク(31)が暴徒によってリンチを受け死亡しました。

1913年4月に鉛筆工場で、従業員の少女(13)が殺害されました。
彼女は文字が書けなかったにも関わらず、死亡時には黒人の犯行を思わせるメモが残っていました。
捜査の段階で、黒人の従業員ジム・コンリーが工場経営者であるレオ・フランクにメモを書けと命令されたと主張し、レオ・フランクは逮捕されました。

1913年7月に始まった裁判では、コンリーの証言だけが唯一の証拠だったため、コンリーの証言の信憑性が焦点となりました。
コンリーの証言には矛盾は多かったものの、「教育を受けていない黒人があれほどの詳細な話を創作することは不可能だ」という意見があり、コンリーの証言は採用され、フランクは死刑判決を受けました。
この裁判は、黒人の証言により白人の死刑が宣告されたという、アメリカ南部では前代未聞の事件となり、人種間の感情を伴なった激しい論争が繰り広げられました。また、フランクがユダヤ人であるため、ユダヤ人排斥主義の主張も加わりました。

フランクの無罪を確信したジョージア州知事ストレイトンは、1915年6月にフランクに恩赦を与え、死刑から終身刑に減刑を行ないました。
この減刑を不服とした30名弱の暴徒が、刑務所からフランクを拉致し、今回リンチ殺害に至った模様です。

<このとき>

訃報:佐竹作太郎 (実業家、政治家)


東京電燈株式会社の社長であり、立憲政友会の長老でもある佐竹作太郎氏が亡くなりました。享年67歳。

氏は山城国愛宕郡大原村生まれ、故藤村男爵(元山梨県知事)の知遇を得て、山梨県で実業家となりました。市会議員、県会議員を経て、衆議院議員に当選4回。全院委員長も経験されました。
東京電燈株式会社のほか、第十銀行頭取など、多数の会社の重役を務めていました。

葬儀には、元老の松方正義侯爵や政友会総裁原敬氏など、政財界の大物が多数出席の予定です。


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Posted by 主筆 at 2015/08/18/11:18

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